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落合陽一「さかのぼり日本のアート」第一回 画家への転向と、アートの終着点──ウォーホル、三島、万博(ゲスト 横尾忠則)

落合陽一「さかのぼり日本のアート」第一回 画家への転向と、アートの終着点──ウォーホル、三島、万博(ゲスト 横尾忠則)

文學界10月号

出典 : #文學界

「文學界 10月号」(文藝春秋 編)

 横尾 あの風景は海岸ではなく、実は皇居なんですよ。二重橋の前で記念撮影しているんです。

 落合 なるほど、皇居なんですね。皇居とギルガメッシュが対になっていて、その間にアンディ・ウォーホルをモチーフにした「A.W.MANDARA」という作品が挟まれているという構図になっていました。「原郷の森」では、ウォーホルの言葉を引用して「キャンバスの裏には何もない。表が全てだ」と書かれてましたが、個展では、絵の面を観て色々拾いながら面白く拝見させていただきました。

 横尾 ありがとうございます。一般的な美術評論家の方たちの批評とは全然違うから、面白いですね。だって、僕自身は「こういうふうに観てもらいたい」という主張そのものがないわけです。僕が描いた作品は未完で終わっているんですけれども、あとの部分を観る人の経験や思考で補って完成してくれればいいと思っているんです。落合さんのお話を聞いていると、僕の描き足りていないことを描いてくれたのかなという。

 落合 アンディ・ウォーホルで言うと、好きな作品はたくさんあるんですけど、特に好きなのは銀風船をいっぱい飛ばした「Silver Clouds」なんです。僕自身浮遊する鏡の作品を作ったり、かなり影響を受けています。

 

この続きは、「文學界」10月号に全文掲載されています。


横尾忠則(よこお・ただのり)
一九三六年生れ。美術家。六九年、パリ青年ビエンナーレ展版画部門で大賞を受賞。七二年にはニューヨーク近代美術館で個展を開催。八一年、グラフィックデザイナーから画家に転向し、パリ、ベネチア、サンパウロ、バングラデシュなど各国のビエンナーレに出品するなど国際的に活躍する。著作も多数あり、二〇〇八年には小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞を受賞。

落合陽一(おちあい・よういち)
一九八七年生れ。メディアアーティスト。筑波大学でメディア芸術を学んだ後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程修了。現在、筑波大学准教授および学長補佐。ピクシーダストテクノロジーズCEO。主な著書に、『魔法の世紀』『日本再興戦略』『デジタルネイチャー』『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』などがある。

文學界 10月号

2019年10月号 / 9月6日発売 / 定価970円(本体898円)
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