宮澤賢治、須賀敦子、神谷美恵子…本書で引用される人たちの多くは、愛する者を人生の途中で失うという経験をしている。引用の達人である著者は、切り出してきた宝石のような言葉たちに独自の光をあて、そのまま出会っていたら気づかないような輝きを見せてくれる。「読むことは、書くことに勝るとも劣らない創造的な営みである。」とは本書の一節だが、まさにそのことが体現されている。
死者や悲しみや孤独について書かれた文章を、これほどまでに著者が読み解き、そこに自身の心を見出す理由は、「彼女」という章で明らかになる。引用の達人、などと簡単に書いてしまったけれど、それは魂を賭けて言葉を味わった軌跡なのだ。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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