右手を食べられてしまったポーポー様は、
「もうそのへんでいいだろう」と玉をたしなめます。
玉は神様にボンボンと名付けられます。
ポーポーとボンボンはとても仲良くしていました。
「いるかい?」
「いるよ」
「行くかい?」
「行くよ」
「来るかい?」
「来るよ」と離れていても近くにいても声を掛け合いました。
二人は遊んでばかりいました。
眠る必要もないし、食べなくても生きていられます。
なぜなら神様だからです。完全体なのです。
けれど、ある時ボンボンはどうしても好奇心を抑えきれず、
ポーポーの眠っているスキを狙って、左手も食べてしまいます。
それから角をかじり、さらに食欲が増し、右足を食べていたボンボンは、
お腹が痛くなってしまいます。糞詰まりです。
何故ならお尻の穴がなかったからです。ボンボンは言います。
「どうしよう。お腹が痛くて死にそうだ」
ボンボンはお腹が大きく膨らんでいます。
ポーポーは悲しくなりました。
「なぜ私を食べた? これではどうにもできない」
「どうすればいい?」ボンボンは苦しみながら聞きます。
「仕方ない。これで穴を開けよう」
とポーポーは下半身のとんがった部分をさらにとんがらせます。
「ただし、これで穴を開けたら君と私は一緒にいられない」
「どうして?」
「君に穴を開けたらその穴と口がつながってしまう。そうしたら、もう何かを食べてもそれが下から形を変えて出てきてしまうんだ。もう完全ではいられない」
「そんなことって」ボンボンはそう言いながらさらに苦しみます。
「よしわかった!」ポーポーは思いついたようです。
「君に穴を開けたら、今度は私に君のとんがった部分で穴を開けてくれ。
そうすれば一緒になれる」
「よしわかった。とにかくはやくやってくれ」
ポーポーは大きくなったトンガリをボンボンのお尻に突き刺し、
口の部分まで貫き、そして抜きました。
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