溝端は、2006年に、多くの俳優やモデルを輩出してきた「JUNON スーパーボーイコンテスト」でグランプリを受賞して芸能界入り。ドラマ『生徒諸君!』『BOSS』、映画『麒麟の翼~劇場版・新参者~』『高校デビュー』などに出演し、2015年秋には蜷川幸雄の舞台『ヴェローナの二紳士』に主演するなど、俳優としてキャリアを積んできた。一方で、トーク番組『誰だって波瀾爆笑』では司会を務めるなど、マルチな活躍をみせている。
そんな彼が初めて挑んだ時代劇では、撮影所の独特な雰囲気や、殺陣(たて)の撮影など、新しく体験することばかりだったと語る。
最初にこの作品の脚本を読んだとき、実は、「ちょっと困ったな」と思ったんです。というのも、登という主人公はとても好青年で、半ば押し付けられるようにしてやっている獄医という仕事も真摯に務めているし、コンプレックスのようなものがない。こういう人物は内面を掴みにくくて、演じにくいんです。
僕の場合、原作がある作品を演じるときは、まず脚本を読んで、それから原作を読み、また脚本に戻ることが多いのですが、原作を読んでみても、この思いは変わりませんでした。原作は登の視点から書かれているので、彼の活躍もさらっと描かれているけれど、よく考えると登は、隠された真実をつきとめ、何人もの敵を1人で倒し、事件を解決するという、すごいことをやっているわけです。こんな主人公をどうやって演じればいいのか、ずいぶん迷いました。しかも、原作でも、最後に登がどう思ったのか、その感情が吐露されることがほとんどない。心情が簡潔に描写され、切ない余韻があるだけです。最後に何か登の台詞があれば、そこから逆算して登の気持ちを追い、どんな芝居をするか考えるのですが、それができないんですね。囚人たちから頼まれたことを受けて、どう動くのか。そういう受けの芝居が多かったので、難しかったです。
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