京都での撮影も『立花登』で初めて経験しました。松竹撮影所と東映京都撮影所の両方を使わせていただき、スタッフも混成チームだったのですが、松竹と東映と、それぞれやり方が違うんです。その両方を知れたのも貴重な経験になりましたね。
京都のスタッフさんはみなさん職人気質で、最初はちょっと恐かったのですが、一度懐に入ると優しい方ばかりで。何より皆さん、芝居が大好きなんですよ。撮影中にしっかり芝居を観てくれているのがわかるし、眉の動かし方にクセがあるとか、台詞がちゃんと相手に届いていないとか、気づいたことがあれば何でも言ってくれる。逆に、時代劇が初めてという僕の意見もしっかり受け止めて、向き合ってくれるので、とても清々しく、ありがたい現場でした。
時代劇では殺陣のシーンも毎回の重要な見所です。起倒流柔術については撮影前に京都の道場に見学に行ったのですが、素手で闘う実戦的な柔術なので、何でもありなんです。90代の先生が70代のお弟子さんを軽々と投げ飛ばしているのには驚きました。刀や匕首(あいくち)を持った敵を素手で倒すシーンにも説得力を持たせるために、現場ではいろいろ試行錯誤しました。迫力を出すためには多少怪我してもいい、というつもりでやったので、衣装を破ったり、セットを壊してしまうこともありました。武器を使わず、素手で相手の弱点をつくというのは、相手を殺さない、医者の登らしい戦い方だなと感じました。
続編の放送も決まり、また登を演じられるのが嬉しいです。スタッフやキャストの皆さんと再会するのも楽しみですね。回を重ねて行くごとに成長していく登の姿を、見守っていただければと思います。
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