「知らなかった知識との出会い」をコンセプトに、出版取次大手の日本出版販売と自遊人の共同プロジェクトで生まれたブックホテル箱根本箱。2019年のグッドデザイン賞ベスト100も受賞した話題の場所で行われた、作家石田衣良さんによる「おはなし会」の様子をレポートします。
「おはなし会」が行われたのは12月1日。箱根は10月の台風19号で大きな被害を受け箱根登山鉄道もいまだ復旧しない状況でしたが、日曜日の開催にもかかわらずほぼ満室の盛況。天気にも恵まれて、箱根本箱からも紅葉真っ盛りの箱根の様子が一望できました。
吹き抜けになったロビーに椅子を並べて話を聞くアットホームな雰囲気のなか、第1部は「旅先で読む」をお題に、以前同テーマで箱根本箱のために選書した本を紹介しながら、旅と読書について奔放なトークを繰り広げる石田さん。
石田 僕は旅先にはだいたい本を持っていきます。今年の夏に沖縄に行ったときは話題の中国SF『三体』を持っていきました。すごく面白くてあっという間に読んじゃったんですけど、日本版の続きが出るのが来年なんですよ。なので、沖縄の空港で英訳のペーパーバックをネット注文したんですけど、英語だと面倒くさくて読むのを諦めました(笑)。
旅行ではもちろん観光もするんですけど、空いた時間や空港の待合で本が欲しくなります。そういうときはその土地の歴史の本を持つことが多いです。沖縄に行ったときも、今回燃えちゃいましたけど首里城のガイドの人と薩摩藩の琉球侵攻の話で盛り上がりました。そういうときはあまり難しい本じゃなくて、新書を1冊鞄に入れておけばいいと思います。あとは小説を1冊。それも『三体』のようなスケールの大きな物語を持っていきます。
また、石田さんは来年を「動画元年」と捉え、人気シリーズ「池袋ウエストゲートパーク」のアニメ化やご自身による動画配信による新しい発信への意欲を語りました。