- 2019.12.21
- インタビュー・対談
<東川篤哉インタビュー>「魔法使い」シリーズは『刑事コロンボ』と『奥さまは魔女』から生まれた!
「オール讀物」編集部
『魔法使いと最後の事件』でついにシリーズ完結!
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#エンタメ・ミステリ
本格ミステリと魔法の融合!
数ある東川さんの作品の中でも「いちばん笑える」と評判なのが、2011年にスタートした「魔法使い」シリーズ。このたび4巻目となる『魔法使いと最後の事件』が刊行され、ついに大団円を迎えることになった。
本格ミステリと魔法とを融合する大胆な発想には、当初、多くのミステリファンが驚愕した。さぞ長年の構想、周到な準備があったのだろうと思いきや、
「もともとのきっかけは、雑誌で『懐かしの海外ドラマベストテン』的な記事を読んだこと」と、東川さんが明かしてくれた。
「結果は、1位が『刑事コロンボ』、2位が『奥さまは魔女』でした。どちらもよく観てましたから、このふたつの面白さを組み合わせてミステリを書いたら傑作が生まれるはずだ、と思いついたんです。
『刑事コロンボ』は必ず犯人の犯行シーンからドラマが始まる、いわゆる〝倒叙ミステリ〟です。またコロンボ刑事は、よく奥さんのことを話題にして『うちのカミさんが~』とボヤきますよね。これを『奥さまは魔女』と合体させたらどうなるか? 『うちのカミさんが魔女』である刑事を主人公にして倒叙ミステリを書けばいい――と、いわばギャグありきの、ノリで始めたシリーズでした」
物語の主役は、ごく普通の八王子署の若きエース小山田刑事と、ごく普通の美少女家政婦マリィ。ただひとつ違っていたのは、マリィは……魔法使いだったのです!(ナレーション風に)
「倒叙ミステリなので、最初から読者は犯人を知っています。マリィは魔法を使って犯人を自白させるんですけど、そこに驚きはありません。むしろ、魔法の力で犯人を知った小山田が、どうやってきちんとした裏付け証拠を見つけ、犯人をギャフンと言わせるか。その推理や捜査のプロセスがミステリとしての読みどころです」