- 2020.02.07
- 特集
作家・伊集院静の人生相談「悩むが花」から傑作10選一挙紹介! 『女と男の品格。』発売記念
文:「オール讀物」編集部
「女を舐めとると、命とられるよ」「哀しみにはいつか終りが来る」「女の方が、男よりエライ」
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#随筆・エッセイ
Q 一年前に彼氏と別れてから、男性とおつきあいするまでの手順が面倒くさく、つい学生時代の男友達や元カレをつまみ食いしています。そろそろちゃんとした彼氏を見つけたいのですが。(26歳・女・会社員)
A ちゃんとした男は、ちゃんとした女のところにしか行かんぜ。
Q コメ農家を営んでいます。夏の集中豪雨で稲が全滅。納屋も農機具も水没して心が挫けました。友人からは「まだ若いし、土地を売って会社勤めをしたらどうだ」と誘われ、心が動いています。(29歳・男・農業)
A 雨で稲がやられたか。
会社勤めをしたけりゃ、すればいい。君の人生だもの。
ただ、農家をやめる前に、ひとつ考えることがあるんじゃないか。
君が農耕を好きかどうかだ。
その仕事に誇りをもてるかどうかだ。
たかが一年、雨でやられたからって、農耕はそれで終わるようなヤワな仕事じゃないだろう。君の親も、そのまた親も、同じ目に遭ってきている。それでも農家を続けてきたのは、そこに他の仕事にはない喜び、誇りがあったからだと思うぜ。
墓参りにでも行ってこいよ。
Q 男女平等が当たり前になった世の中において、いまだに世間で「デートの割り勘はNG」と言われていることが、僕には納得できません。(30歳・男・会社員)
A 君ね。男と女が平等なわけないだろう。
男と女が平等なら、なんでこんなに男ばっかりが働かされとるわけ。
えっ? なぜ男ばかりが働かされたり、戦いに出たりするかって?
君、三十歳にもなって、そんなこともわからんのかね。
女の方が、男よりエライからだよ。
金ないんならデートなんかするなよ。
Q 僕の彼女は優しくて料理上手。趣味も合うし、身体の相性も抜群です。ただ、顔がとんでもなく不細工なのです。交際が人にバレたら恥ずかしいので、デートは避け、極力家で過ごしています。(26歳・男・アパレル)
A おまえさん、地獄に落ちるよ。
とんでもなく不細工なのは、気のいい彼女の顔じゃなくて、おまえの性根だろうが。
わしか彼女の父親なら、おまえ、
吊すか、
埋めるぞ。
Q 昨年の夏、母が亡くなりました。それ以来、三歳の息子がごく稀に「おばあちゃんと遊んだよ」と口走るようになったのです。もし本当なら、会ってこれまで育ててくれたお礼を言いたいと思っています。先生は幽霊を信じますか? (48歳・女・主婦)
A ひさしぶりにいい質問だね。
今年はお母さんの初盆だろう。
三歳の息子が、今日ばあちゃんと遊んだよ、って笑って言うのかね。
そういうことは世の中には間々あることだし、あって当然なことだ。
ワシは二十歳の時、十七歳の弟を海で遭難死させた。
葬儀が終わってからも、母親は弟が顔を見せに来たと言っていた。ワシは、弟が本当に母親の所にやってきたんだろうと思ったよ。
日本に盆という行事があって、死者が一年に一度、戻ってくるというのはきわめて自然な考え方だと思うぜ。
あなたの三歳の息子さんには、
「そう、お母さんも遊んだよ」
と、明るく応えたらいいんじゃないのかね。
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