明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん
想いが紡がれ、気づいたら涙が流れていました。自分を表現することが苦手な美緒は衝動的に父方の祖父が営む毛織物工房に家出をしてしまう。寡黙な祖父にとまどいながらその手から織り出されていく布の色、手触りに触れ、また亡くなった祖母が織ったショールに触れながらある想いを募らせてゆく。 娘・美緒と祖父と同じように寡黙な父・広志の視点で描かれている不器用な家族の物語。言葉が足りなかったり、鋭い言葉をぶつけ合い傷つけ合いながらも、真意に気づき想いを新たにする様子が、自由に形を変えゆく雲のようです。祖父から孫・息子への想い、孫・息子から祖父への想いが繋がり紡がれゆく様に気づいたら涙が流れていました。昼間は雲を眺めながら、夜は宮沢賢治の世界に浸りつつ星空を見ながら読みたい作品。
明林堂書店 JR別府店 後藤良子さん
タブレットで読み終わったばかりですが、本としての重さや質感を感じながら読みたいと思いました。それほどものの手触りの描写が多くなんだか五感を刺激されてしまいました。そして作品に出てくるお店や美味しそうなものたち。盛岡に行きたくなります。
Super KaBoS 鯖江店 峯森和代さん
みんな迷う。どう進んだらいいのか、これまで進んできた道が間違いではなかったか。家族であっても、言いたいことが言えないことはある。うまく言葉にできない。わかり合いたいけど難しい。自分がつぶれてしまう前に逃げてもいい。苦手な相手からは離れてもいい。迷っている間は選ばなくてもいい。追いつめられてしまった美緒がたどり着いた場所で祖父に教えられた多くのもの。子供はいつか親の元を離れる。その時私は何を思うのだろう。
喜久屋書店帯広店 礒野あかねさん
いくつかの事情をかかえた家族の絡みあった糸を丁寧にゆっくりとあきらめずに解き、新 しい布地を織っていく――。まさにホームスパンの製作過程に重なるような物語ですね。真紀と母親の関係に考えさせられたり、ホームスパンの製作作業、盛岡の街並、名物パンやカフェの情報、宮澤賢治の絵本など、読みどころがいっぱいあり、もう一度、盛岡に行きたくなりました。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。