文教堂北野店 若木ひとえさん
目の前に広がる色は温かみを与えてくれました。小さな頃から本物のホームスパンにくるまって過ごした美緒が助けを求めるように祖父の元に向かったことで停滞していた家族の絆が動き始めた。「絆」それはまるで糸を織る長い長い作業のよう。織目を落としてしまっても直すこともできる。織り上げた後の作業も決して手を抜くことはない。色と布の力、さらにそこに加わるものは職人一人一人違うでしょうが、布を纏う者にとって大きな力にも励ましにもなります。ホームスパンのぬくもりは毎日身に着けることで温かみだけではなく前に進んでいこう! という勇気を与えてくれます。これは日々実践している者の実感です。なんと力のある物語でしょう。出会えてよかった!
株式会社図書館流通センター 松村幹彦さん
ほどよい距離感の友人なら察してくれるかもしれない言葉にできない自分の思いはえてして家族には伝わらないことが多いと感じます。「何も言わなくてもわかってくれるはず」と誰もが信じて疑わない心の拠り所は実は一番近くて一番遠い存在なのかもしれません。家族とはとても厄介なものだと思います。この作品は時間をたて糸に家族をよこ糸にそれを導く主人公が杼に周りの思いが筬になり「心」という名の布を一緒に織りあげてゆく物語だと思います。糸は切れても繋げばもとに戻る。そんな当たり前のことも当事者は忘れてしまいがち。迷ったら立ち止まる。気づいた時にすぐ動く。それでたいていは取り返しがつくと登場人物たちは教えてくれます。目の前にある「もの」は不思議な存在だと思います。手掛けた人は消えても作られたものはいつまでも残ります。記憶は薄れ、いつか忘れられてしまっても残されたものは消えません。私は本もまたそのような存在だと信じています。この作品が自分らしい生き方とはなにかを考える切っ掛けになってくれたら嬉しいと強く思いました。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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