- 2020.02.27
- インタビュー・対談
<安部龍太郎インタビュー>戦国時代を知るためには、新たな歴史観が必要だ!
第二文藝部
作家生活30周年記念作品『海の十字架』(安部 龍太郎)
ジャンル :
#歴史・時代小説
作家生活30年を支えた「独自の創作論」
執筆生活、30年目を迎えた筆者に、時代小説を書き続けるための秘策を尋ねると、興味深い答えが返ってきた。
「これまで、この国で語られてきた歴史観、つまり、鎖国史観や、商人と流通に関わる人を差別的にとらえた史観、儒教史観という刷り込みから一歩離れて、世界の歴史の中で、日本という国を考えていくことが大切だと思います。
そのためにも、歴史的教養が必要です。教養とは多くの資料を読み込んで、たくさんの情報を集めていること。これが基本となります。
さらには、歴史と格闘した経験ですね。『教えられた歴史が、そのまま正しい』と思っているようでは、小説は書けません。
もう一つは想像力。この三つがそろったときに、自分なりの解釈、歴史観が生まれてくるのです。
『海の十字架』で描いたのは、大村純忠、宗像氏貞、服部友貞、三好四兄弟、津軽為信、長尾景虎という戦国大名です。
それぞれの地域で生きた武将たちが、時代の変化や流れを、どのように受け止め、乗り切ろうとしていったのか、という部分を楽しんでいただけたら、と思っています。
私がこれから15年、20年と小説を書いていくうえでも、大切な『一里塚』といえる短編集になりました」
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