誰もが家に閉じこもらざるをえない状況のなか、作家・宮部みゆきさんが「少しでも皆さんに楽しんでいただけたら」と、自身のブログでアマチュア時代の習作を無料公開した。【作品はこちらに】
題名は「憑かれた家」。原稿用紙約60枚の短編小説で、執筆は1984年。宮部さんが23歳の頃、小説講座の課題として提出したものだという。この短編を執筆した3年後、宮部さんは「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、作家としてデビューすることになる。
「憑かれた家」は、新居を探す若夫婦が主人公のホラーサスペンス。両親と同居するため、都心の一戸建てを求めて不動産屋をまわる夫婦の前に、奇跡のような「掘り出しもの」物件が現れる。しかし、この家にはひとつだけ“アクシデント”があった。営業マンいわく、「一年半ほど前にね、前の持ち主の奥さんが、階段から落ちて首を折って死んでるんですよ」――
宮部さんからは、次のようなコメントが寄せられた。
「ヘタです…。恥ずかしいです…。ほんの一時の気晴らしに、笑っていただけたら嬉しいです」
長い夜に、軽い気持ちで読み始めたら最後――“今夜は眠れない”こと請け合いの一編だ。