
そうして北九州は「暴力の街」「修羅の国」と呼ばれ、繁華街を工藤會組員が大手を振って歩いていた。まさにやりたい放題だった。
今、その工藤會の屋台骨が大きくぐらついている。
それは平成二十六年からの福岡県警による相次ぐトップ検挙、いわゆる頂上作戦によるものだ。野村悟総裁、田上不美夫会長、菊地敬吾理事長のトップ3がいずれも殺人事件等で検挙、起訴され勾留中という未曾有の事態が続いている。
市民の態度も変わった。
平成二十一年以降、八坂神社は工藤會など暴力団の集団参拝を拒否している。幹部が愛人との逢瀬に利用していたホテルも、暴力団お断りの掲示を出している。最大の繁華街・鍛冶町、紺屋町でも、それとすぐにわかるような人間の姿は見られない。北九州市は今、全国の政令指定都市でも一番安全な街といっても過言ではない。
ひるがえって、東京をはじめとする他の大都市はどうだろうか。発砲事件など、すぐにそれとわかるような事件は、ほとんど発生がない。しかし、それらの街でも暴力団は存在している。事件がないということは、逆に言えば、その必要がない、つまり彼らの経済活動が順調に行われているということではないだろうか。
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