吉本興業ホールディングスの社外取締役に僕が就任して、ちょうど2年の濃密な月日が経ちました。その間、実際には20年もの年月を過ごしたかのようにも感じます。
大﨑洋会長と初めてお会いしたのが、忘れもしない2017年の11月29日。代官山のレストランでした。初めてお会いして2時間も経たないうちに、「吉本の社外役員やってくれませんか?」と言われたあの瞬間は、思わず、「は、はい! それが大﨑さんのためになるなら」と即答してしまいました。
というのも、その2時間の会食で、僕の心は完全に大﨑さんに掴まれてしまっていたからです。初対面の人に「この人を漢にしたい!」と、思った自分に対して少し驚きました。
業界のドンであり、圧倒的な有名人、実力者を前にして、今さら漢にしたいなんてある意味ではとても失礼なことです。
しかし、そう明確に思えたのです。なぜ僕がそう思えたかはきっとこの本を読み終わった頃に「そういうことか」と分かってもらえると思います。
それ以来、平均すると週に2回ほど大﨑さんと会議、ゴルフ、会食、ラジオ、イベントなどでご一緒させて貰っています。
また、2日に一度は、「今日はスズメに餌をやった」とか、「今パリに出張に来ています」とか、「沖縄は今ずっと雨です」とか、恋人のやり取りのようなメッセージを送り合っています。
僕の中では、「尊敬する人」であり、「お父さん」であり、「一番仲の良い親友」という存在です。
しかし、一つだけ疑問を感じていました。
それは、社員さんや芸人さんの想像する畏怖すべき「大﨑会長」と、愛らしい巨匠「大﨑洋」の実像との乖離が、なぜこんなにもあるのかということです。
また、芸人さんたちと話す中で、会社に対して「それは全く違いますよ」という認識を持っていらっしゃることに気付きました。
そこで僕はもっと大﨑さんや岡本さんがメディアなりに出て、何を考えているのかを芸人さんや社員さん、また世間に伝えるべきだと進言しました。