没後30年を経て、今なお絶大な人気を集める池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』と『仕掛人・藤枝梅安』。幾度もドラマ化されてきた名作が、池波正太郎の生誕100年という節目にあわせて映画化されることが決まり、新たな主役〈長谷川平蔵〉と〈藤枝梅安〉が発表された。
「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を務めるのは、10代目松本幸四郎。祖父の初代松本白鸚、叔父の二代目中村吉右衛門が演じてきた大役を引き継ぐことに、「すこぶる興奮していますし、池波正太郎先生の傑作に主演させていただくのは、鳥肌が立つような思いです。祖父、叔父、(萬屋)錦之介のおじさま、丹波哲郎さんという近しい存在が演じていた作品で、お話をいただいた時には、まず喜び以上に驚きが勝りましたが、すぐに『演(や)りたい』という気持ちになりました。根拠はないんですけれど、確かな自信があります」と堂々と胸を張る。
一方、表向きは鍼医でありながら裏では殺し屋の顔をもつダークヒーロー・藤枝梅安を務めることになった豊川悦司は、「大きな役で身が引き締まるどころか、縮こまるような気がしています(笑)。子供の頃にテレビで観た緒形拳さんの梅安の印象が非常に強く、怖いけれど本当に格好良かった。オファーをいただいた当初は迷いもありましたが、監督が河毛俊作さん、脚本が大森寿美男さんと聞いて、チャレンジし甲斐のある作品を映画の神様がくださったんだと感じました。誠心誠意がんばりたい」と、意気込みを語った。
映画『仕掛人・藤枝梅安』は2022年に2作品を同時撮影、2023年2月に1作目、5月に2作目が公開予定。現在はほぼ脚本が完成、キャスティングも進行中だという。一方の『鬼平犯科帳』は2023年に映画を1作品とテレビの連続シリーズ5本を撮影、2024年に映画公開と同時に連続シリーズの配信が予定されている。
※松本幸四郎さん、豊川悦司さんそれぞれの単独インタビューは、「オール讀物」5月号(2021年4月22日発売)に掲載されます。
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