いま最も注目を集める7人の気鋭作家たちが大集結。大座談会の後編では現在の歴史小説をとりまく環境や、今後の執筆を予定している人物たちについて語り合いました! 令和の時代に求められる新しい歴史小説の形とは――
ゲーム『信長の野望』の洗礼を受けて
――皆さんは年齢、キャリアとも近いですが、同世代だからこそ意識される部分はありますか?
天野 もちろんどんな作品を書いているかとか、意識もしますけど、第一に「やっと同世代の人たちがいるようになった」という思いのほうが強いですね。この中では僕が一番デビューしたのが早いわけですけど、当時は同世代の人が全然いなかったので。
谷津 年齢は僕が一番下なんですけど、20代でデビューしたので、もう小説家生活8年目なんです。デビュー時は周りに20代がいなかったので、だいぶ寂しい思いもしましたが、最近は20代の歴史小説家もどんどん出てくるようになりました。やはり若い人が入ってきて切磋琢磨できる環境というのはとても嬉しいです。
澤田 歴史小説は、どうしても女性の作家が少ないですよね。先日、唐の時代を描いた『震雷の人』(文藝春秋)で松本清張賞を受賞されたのが女性の千葉ともこさんなので、すごく嬉しいニュースでした。あと、千葉さんも含めて、最近の新人の方は、いままでの歴史小説が扱っていないところに手を伸ばされる印象があります。
谷津 加えて、古い作品をきちんと咀嚼したうえで、自分なりに新しい花を咲かせる人が多いですよね。
武川 やっぱり歴史小説を書いて新人賞に応募される方って男性が多いんですかね?
今村 歴史に限定したら男性のほうが多いんじゃないかな。
武川 女性の場合、歴史小説ではなく時代小説を書く方が多い気がする。どうしてなんでしょうね?
天野 女子はゲームの『信長の野望』はやらないからじゃない?(笑)
今村 たしかに。歴史もののゲームをやっても、もう少しキラキラした世界観の『戦国BASARA』にいきそう。みんな、『信長の野望』はやってた?
木下 やってました!
今村 『信長の野望』をプレイすると、史実として正しいかではない部分で、みんなが何を求めてるか分かるんですよ。たとえば上杉謙信はゲーム内でめちゃくちゃ強いから、「ああ、謙信に対してこういうイメージを持ってるんだな」って。
天野 今川氏真は使えないとかね(笑)。
澤田 ゲームで男性と女性を区切っていいかはわかりませんが、女性にとって歴史に親しみやすい入口が少ないのは確かでしょうね。
天野 ゲームだと『刀剣乱舞』とかは? ミュージカルになったりと、女性ファンが相当多いと聞いていますが。
澤田 うーん、女性の傾向として、小説などのフィクション作品に行かずに、モノに走る人が多い気がします。
天野 モノ?
澤田 美術作品などの現実の作品を見にいく人は多いけど、小説には来ないという意味です。特に中世以降は女性読者が少ないと感じます。私の場合、古代小説も書きますが、古代は意外と女性の読者が多いんですよ。それは女性を引きつけるフックが、他の時代と比べて多いんですね。
天野 なるほど。
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