「料理が好き」という安心感からはみ出す小説
「オール讀物新人賞」を受賞し2019年に単行本デビューした佐々木愛さんの第2作『料理なんて愛なんて』。失恋をきっかけに料理ができるようになろうと一念発起する主人公・優花。だが、料理に向き合おうとすればするほど、自分が料理嫌いなことを再認識してしまい……果たして、優花の迷走が行き着く先は!?
そんな前代未聞の“料理小説”の刊行から約1か月半、たくさんの反響が届いております。その一部をご紹介します。
最後のページを読み終わった後、心の中にぎゅうぎゅうにつまっていた理想像とする自分が、そうでなくても良いんだ!! とすーっと消えていきました!!!
体の奥にあるもやもやした感情が浄化しました!
紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡敦子さん
料理=愛情という呪縛や解放みたいな話だけではない、そこからもう一歩先に進んだ好きと嫌いのままならない感情の交わる描写が素晴らしすぎる。デビュー作に続いて、佐々木愛という作家の才能の底知れなさを感じさせるこの物語、生きる上でのきれい事と自分の常識に捕らわれている人に、ぜひ読んでほしい。
大盛堂書店 山本亮さん
生きることと料理することが直結しているすてきな周囲の人たちに負う、「どうして自分はこうなんだろう」という切なさ。折り合いがつかなくても、大切な人に愛情を伝えることを諦めない彼女の居住まいは、誰も「間違って」などいないと背中を押してくれる。
ジュンク堂書店 吉祥寺店 田村知世さん
この主人公、まるで私だ。読み始めて、まずそう思った。
料理が嫌い。面倒くさい。大事な人のためであっても、ちゃんと料理できる気がしない。わかりすぎる……。そんな料理が下手で振られた女子のおもしろ話かと思いきや、世間一般の価値観について、自分の心との折り合いのつけ方について考えさせられるお話だった。さて、私にとって料理とはなんだろう。
旭屋書店 新越谷店 猪股宏美さん
さらに、各書評でも取り上げられました。
・「日本経済新聞」1/28夕刊文化面、「目利きが選ぶ3冊」(北上次郎さん)
・「カドブン」2/10杉江松恋の新鋭作家ハンティング(杉江松恋さん)
・「ダ・ヴィンチ」4月号、「今月の絶対はずさない!プラチナ本」
・「本の雑誌」4月号、「新刊めったくたガイド」(高頭佐和子さん)
・「朝日新聞」3月25日夕刊「とれたて!この3冊」(藤田香織さん)
佐々木愛さんの著者インタビューが掲載されました!
・リアルサウンドブック 「料理は愛情」は呪縛になる? 『料理なんて愛なんて』著者・佐々木愛が語る、“アンチ料理小説”を書いた理由
佐々木愛さんからのコメント
私自身も料理が苦手です。美味しそうな料理描写がある小説は大好きで、読むたび食欲がわくのですが、同時に、料理ベタだった登場人物が途中から成長し始めると寂しさも感じてしまいます。そこで、同じように“料理小説に疎外感を抱いてしまう人”にも読んでもらえる物語を書きたいと思いました。
完成したのは、なりたい自分になれないまま生きていかなきゃいけない人たちのお話でした。
「料理は愛情」などの紋切り型の言葉の裏には、それを発した人の数だけ、人間くさい迷走が潜んでいるのかもしれない――という希望も込めています。
一人でも多くの方に手に取っていただけたらうれしいです。
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