第96回オール讀物新人賞を同時受賞した佐々木愛さんと嶋津輝さんは、受賞前、根本昌夫氏の小説講座に通っていた。根本氏を交えて語る、小説講座で学んだこと、受賞への道のり、そして単行本デビューまでの3年間について――

根本　佐々木さんと嶋津さんは、2016年にオール讀物新人賞を同時受賞して、今年やっと単行本が出たんですね。おめでとうございます。お二人とも私の小説講座の受講生だったということで、今日は呼ばれて参りました。

佐々木　ご無沙汰しております。私は小説講座には受賞の少し前に、半年ほどしか通っていなくて、根本先生とはその時以来なんです。

嶋津　私は、受賞後も何度か根本先生にお会いしていますね。私も佐々木さんも、根本さんの講座には通っていたのですが、同じクラスではなかったので、新人賞の授賞式が初対面でした。

根本　私の教室に通っていた石井遊佳さん・若竹千佐子さんが昨年（2018年）1月に芥川賞同時受賞で話題になってからは、小説講座も各クラス、定員いっぱいの30人ほどになりました。

嶋津　私が通っていたころは、20人くらいでしたよね。

根本　しかも、今はリピーターが多くて、みんな辞めないんです。私の小説講座では、受講生に小説を提出してもらって、それを皆で合評します。小説を出すのは任意で、テーマも自由。皆さん各自のペースで提出します。嶋津さんは、5年くらい通いましたよね。

嶋津　はい。2011年から、あいだで休んだりもしつつ、受賞する2016年まで通いました。最初の1年間だけ5作提出して、あとは1年に1、2作のペースでした。