お客様のリアルな声が聞きたいと気付いて
──憧れ続けてようやく入った電通を辞めることに未練はなかったのですか。
森本 まったくなかったです。仕事は本当に楽しかったんですが、基本的に電通の仕事は「BtoB(企業間取引)」です。たとえばイベントの企画を手がけた時、私が関わるのはクライアントやイベント実行側の担当者で、実際にイベントに来てくれたお客様に直接お礼を言う機会はないんですよ。
私は、クライアントが喜んでくれるよりも、「このイベントに行けてよかった」とつぶやいてくれるお客様のリアルな声が聞きたいんだということに、会社に入った後で気づきました。そんな時、クライアントだったMy Little Boxというパリ発のスタートアップ企業の日本支社から「うちで働かないか」と誘っていただいたんです。上司や先輩からも「森本はBtoC(企業対消費者取引)に向いているし、こんな良縁はないから行った方がいい」と祝福していただき、二つ返事で転職を決めました。
「ロマンチックな出会いを生み出す人になろう」
──その後、2度の転職を経て、『MISSION ROMANTIC』を起業されます。起業の経緯を教えてください。
森本 20代後半に、出会いがほしくてマッチングアプリにハマっていた時期がありました。でも、顔や条件で相手を選ぶ自分にだんだん疲れてきて。そんな時、金曜ロードSHOW!で『耳をすませば』を偶然見たんです。
図書館で偶然出会った2人が、自分の夢というポジティブな障壁に悩み、恋が生まれていく──。
「私が求めていたのは、これだ!」と衝撃を受け、その日のうちに「このロマンチックな出会いを生み出す人になろう」と、起業を決めました。
社名に「ロマンチック」を入れたのはコンセプトを明確にしたかったからです。私はコンセプトから入るタイプなので、「ロマンチックな出会いを実現したい。そのためには何をやろうか」と逆算して考えていき、現在提供しているサービス「Chapters」を作りました。
──映画のように本で出会いは生み出せると思いますか。
森本 思います。私は本を読み終えた後に誰かと共有したくなることが多いんですが、まわりに同じ本を読んでいる人がいなければ共有できませんよね。だから、この気持ちをつなげる環境があれば喜んでくれる人は絶対いると思うんです。何より、私が嬉しい(笑)。
現在、「Chapters」では、本1冊に対して月に1人と出会えるビデオチャット「アペロ」を運営しているのですが、ユーザーの5~6割が毎月アペロに参加しています。みんな本でつながれる場所を探していたのだと思います。
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