- 2021.06.22
- 特集
創刊90周年を記念した〈華麗なるミステリーの系譜〉。史上初の2作受賞となった高校生直木賞の詳細も!
文:「オール讀物」編集部
「オール讀物」7月号
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
「オール讀物」7月号が本日発売になりました。創刊90周年記念特別号第1弾の特集は〈華麗なるミステリーの系譜〉。伊吹有喜さんと加藤シゲアキさんの同時受賞が話題になった〈第8回高校生直木賞〉については選考会の詳細ほか、候補者全員のエッセイも掲載されています。
高校生直木賞とは全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近の1年間の直木賞候補作品の中から、「今年の1冊」を決める試みです。本年度は32校が参加、5月30日(日)にオンラインで選考会が行われ、候補作は伊吹有喜さん『雲を紡ぐ』、伊与原新さん『八月の銀の雪』、加藤シゲアキさん『オルタネート』、西條奈加さん『心淋し川』、馳星周さん『少年と犬』の5作品でした。
16校ずつに分かれた予選から『雲を紡ぐ』と『オルタネート』が最終選考に進み、4時間にも及ぶ大激論が交わされた結果、まさかの2作品が同得点。初の2作受賞となりましたが、この経過の詳細を高校生直木賞実行委員会代表の伊藤氏貴先生がレポート。候補者全員による競作エッセイ「高校時代にこんな本を読んできた」は、作家の皆さまの読書に対する愛情があふれています。
そして昭和5年に創刊した「オール讀物」は、今年で創刊90周年を迎えました。長きにわたる歴史を、今号では〈華麗なるミステリーの系譜〉と題して振り返ります。そのトップを飾るのは、オール讀物推理小説新人賞出身のレジェンド・西村京太郎さんと赤川次郎さんの対談です。「ミステリーを書き続ける幸せ」をたっぷり2時間語り合っていただきました。
小説も記念号にふさわしく、今野敏さん、堂場瞬一さん、米澤穂信さん、恩田陸さん、坂木司さん、芦沢央さん、大山誠一郎さん、青柳碧人さん、織守きょうやさん、水生大海さん10人の読切短編に加え、中山七里さんの新連載「祝祭のハングマン」もスタートしました。こうした充実の執筆陣は、創刊時の野村胡堂「銭形平次捕物控え」から現在まで連綿と続いており、この系譜を90年間の目次で読み解く、北村薫さん、北上次郎さん、戸川安宣さんによる博覧強記の座談会は、推理小説界全体をも俯瞰した貴重な内容になっています。
さらに宇都宮直子さんによるノンフィクション「羽生結弦という光」では、長年フィギュアスケートの取材を続けてきた著者が、羽生の恩師・都築章一郎を訪ね、知られざる秘話を発掘しました。前号の「仰天・俳句噺」で自らのガンを告白した夢枕獏さんは、高校時代の俳句との縁を告白し、自らの文筆家人生のまさに〈仰天〉エピソードが満載。宮城谷昌光さんの「三国志名臣列伝」ではもっとも有名な武将のひとり張飛の素顔に迫ります。
来月選考会が行われる第165回直木賞の候補作発表は、一穂ミチさん、呉勝浩さん、佐藤究さん、澤田瞳子さん、砂原浩太朗さん5人全員の著者インタビューも掲載。ほかにも連載や人気コラムなど、今号も隅から隅まで「オール讀物」をお楽しみいただければ幸いです!