- 2021.11.02
- インタビュー・対談
劇場版「きのう何食べた?」公開記念 西島秀俊×梶芽衣子 母子役を演じたふたりの撮影秘話!
聞き手:関 容子
出典 : #オール讀物
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
梶 あの内野さんの芝居を受けるほうは大変でしょう。西島さんはそれをみごとにやっていらっしゃる。清潔感と品格があるんですよ。この役は西島さんしか考えられないと思いますね。
西島 恐縮です。
梶 素晴らしいと思います。
西島 どうしてもこういうドラマでは、男同士というところを強調しがちなものですけど、普通に暮らしていて、普通に喧嘩したり仲直りしたり、親と解り合おうとしてどうしても解り合えなかったり、というのは別に普通にあることで。それが性別の属性とか、そういうものと関係なくあるということを、当たり前のようにやっただけです。
梶 その部分は見てる方が想像するのでいいと思うんですよね。でもその想像が見てる人によって全然違うと思うの。
テレビの何話目かで、これは見事だなと思ったのがありましてね、二人がちょっと言い争いみたいなことがあって、それから二人が階段を上がって消えていくのを下からカメラが狙ってるんだけど、そのときに西島さんが内野さんの手をさりげなくつかんだんです。ああいうところが見事だなと私は思いました。あんまり露(あら)わに出しちゃうとやっぱり引きますから。
西島 そうですね。原作の漫画も、もう十四年連載していて、その間に世の中の認識もかなり変わっていると思うし、連ドラが始まってからの二年間でまた大きく変わっていて、今あの連ドラを見たら、もうちょっとここははっきり表現してもよかったかな、と思うこともありそうですね。
梶 ときどきそこを感じてクスッとなったりね、大人のドラマなんですよね。
関 また、レシピが入るのがいいですね。
梶 そう、あれ助かるの。
西島 そうですよね(笑)。
梶 劇場版のラストは肉団子だったけど、あんなに簡単に出来るんだなと思って、作ってみたりしました。
母子役の次は恋人役!?
関 お二人の共演というのは、この作品以外ではどんなものが。
梶 だいぶ前に『大奥』というのが東映であったんですよ。
西島 そうですね。
梶 ところが西島さんはお殿様役で、私は下のほうの腰元だったので、お辞儀してお迎えする、控えてる、それだけだったんです。絡むところはまったくなくて。
関 西島さんは年上の女性を好きになるドラマはなさってないですか。
西島 そう言えば、ないかもしれませんね。
梶 もう私とは無理でしょう。お母さんやっちゃったから。
西島 でも、今、内野さんとは朝ドラの『おかえりモネ』に一緒に出てて、主人公のお父さんと気象予報士でバッタリ会うみたいな一シーンだけあるんですよ。あ、ケンジ! と思ったらどうしよう、と思っていたんですが、全然問題なかったですね。
梶 お互いプロなんですよ。
西島 だからきっと大丈夫ですよ、一回親子やってても。
梶 二人でそう思ったって、誰もそうだとは(笑)。
西島 いやいや、ご一緒したいです。
梶 気を使わなくていいのよ(笑)。
西島 しかし『きのう何食べた?』の現場、このメンバーで戦国時代の大河ドラマを撮れるよな、ってみんなで言ってたんですよ。梶さんがいて、内野さん、僕がいて、山本耕史(やまもとこうじ)君がいて。その顔ぶれが真剣に小ぢんまりした家族の話をやっていたから、僕も現場へ行っていて、手ごたえがすごくありました。僕が家に帰って、梶さんとやり取りするところなんて、本当に繊細なシーンじゃないですか。毎回、やった! 撮り終えた! という実感がありましたから。
梶 だけど私、内野さんが初めて家に来るでしょ。メーキャップして来ると思ってたら普通に男性の姿で来たでしょ。ということは普段は息子のほうが女性の格好なのかしらって。それがショックで。あらっ、て感じになったら、そしたらもう、笑っちゃったんですよ(笑)。これ、新人のときからの悪い癖で、笑っちゃうんですよ。そこにはまっちゃったら当分笑ってないと駄目。でも、息子の西島さんは優しい。全然怒らないで、大丈夫大丈夫、って。普通はイライラして怒りますよ。
西島 たしかに、内野さんがあの家に来るとまったく空気が変わるんですね。
梶 お食事のときに、やっと誤解がとけるんですね。そこで彼が数の子を召し上がるの。そのポリポリの音がまたおかしくて(笑)。
だから私、現場へ行くとなるべくしゃべらないんです。
西島 笑っちゃうから?
梶 そう、笑うから(笑)。
この対談の続きは「オール讀物」2021年11月号でお読みいただけます。
劇場版「きのう何食べた?」
11月3日(水・祝)より全国東宝系にて公開
監督:中江和仁
出演:西島秀俊 内野聖陽
山本耕史、磯村勇斗、マキタスポーツ、松村北斗(SixTONES)
田中美佐子(友情出演)、田山涼成、梶芽衣子
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