小さい頃から、殴って、殴られるのが普通だった。誰も本当のことを教えてくれなかった。なぜ自分だけが、こんな目にあうんだろう――上京して芸人となった石山の前に現れる、過去の全て。
ここにいるのは、出会いと決断があったから。
兼近大樹さんの初小説『むき出し』は、発売以来たくさんの感想が届いています。
その一部をご紹介します。
ホテルに一泊して読みました。読んで、自分は存在していいんだと露天風呂で泣きました。私は、世間からずれていて変わっているから、まずは、人を見て常識を学び、その上で自分らしく生きればいいと思いました。
これまで、ずっと口を塞がれて息をしている苦しさを感じていました。この石山さんの様に物事の捉え方を変え、相手の気持ちを想像することで変わる気がしました。
今後、大切な人、世の中の人に恩返しや貢献していかなきればいけないと強く思いました。この本は、人の命を救える本だと思う。(とうや)
とても強く温かいお話だった。
主人公が人と同じことができずたくさんの葛藤をし、何か足りないものを感じながらもがき、ぶつかり、傷つき、傷つけ成長していく姿が印象的でした。教育者としては子どもとの接し方を改めて考えさせられ、一人一人を認め向き合っていこうと思う気持ちと共に、やはり教育や保育の場面だけではどうしても補いきれない親と子のアタッチメントの重要さを感じた。
子育てに正解はないとか子どもは勝手に育つとか思っている人がいるが0~5歳位までに親とどう過ごし、心配なとき、心細いとき、助けてほしいときに側にいる、話しかけたら笑顔で聞いてくれるといった安心感は子どものその後の成長に大きく左右すると改めて思った。
主人公は足りなかったものを自分で修復しつつ成長していったが深いところで未だに満たされることのない大きな承認欲求を抱えて生きているように感じた。親である人はこの本を読んだあと子どもと過ごす時間を少しだけ特別に大切にしてくれるのではと思った。(優佳)
主人公石山の、もがいてきた感情表現に、心打たれる。
子供の頃の感情、少し大人になってからの、感情表現が、とても綺麗だ。世間的には不良と呼ばれてしまう主人公の、なぜ?な感じが、よく伝わる。
過去を背負ってこれからも、生きていく主人公の力強さと、人の背景をちゃんと見てるこの主人公が、素晴らしい。ハッとさせられる小説だった。(suika)
登場人物がみんな主役の様に感じ、それぞれの人の色、それぞれの人から見える世界が様々な色で、同じシーンでも、立場によって見える世界が違って、大きく暗く感じたり、小さいけど明るく感じたり。何も見えなかったり…石山くんのこころが、感覚が、優しくてきれいで、勇気があって、ずっとまっすぐに貫かれてて、でも居る環境の中で言うこととおもうこと、行動がうまく噛み合わない状況につらく悲しくなったり、悔しくなったり、諦めかけたり、わからなくなったり。様々な経験を経て成長して、循環していくさまにとても心ひかれました。
日々ひろがる素敵な光景や考え方、ことばがたくさんあって、心あたたかくもなりました。うっすらしか知らない、身近にはない世界がそこにはあって、でも闇には感じなくて不思議な感覚。スピードも感じたし、情景と心情の温度も、その差も、音も、心と体の痛みも、風もにおいも感じました。
何度も読み返したい、また読む時期でも違う感覚が出てくるんだろうなと思います。
本の中のような境遇の方がみたらまた全然違う感覚だろうな…どう感じるんだろう。色々思い、感じました。人や物事に寄り添う心を教えてくれる、とても大切な本になりました。(yu_y)
初めて読み終えたのは深夜。爆睡、そして朝。目覚めた瞬間も心の叫びが残っていた。
主人公である石山さん。もっとあるだろう、話してくれよ。教えてくれよ。まだまだ知りたいんだ。足りないんだ。話してくれ!と本に向かって叫びたくなる。
2度目は、心の動きが見える。誰かに教えられるでもなく自分自身で見て感じ、知り、考える。自問自答を繰り返し、思考を整えていく。それを成長と呼ぶのかもしれないが、その過程を辛く孤独を感じずにはいられなかった。その中で、自分自身が家族や人からの愛情を感じられた事が、本当に救いに思えた。
読み終えて、自分自身はどうかと問いかけていた。改めて、知ること、話すことの大切さを痛感する。考えることを続けていきたいと思える。本を読みたい! という衝動にも駆られる本だと思いました。(legate.k)
本は好きでよく読みますが、これほど鮮やかな作品にはなかなか会ったことがないです。
読んでいる時の臨場感だけでなく、読み終えてしばらく経っても、場面や言葉がふとした時に浮かぶ。
世代問わず読んでほしい、自分という世界にしがみついて生きてきた人でも、心がやわらかくなれる、そんな本だと思います。私がそうなので。(しろとも)
感想をお待ちしております。
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