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続々と読者から寄せられる、兼近大樹『むき出し』感想第2弾!

続々と読者から寄せられる、兼近大樹『むき出し』感想第2弾!

『むき出し』(兼近 大樹)


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

小さい頃から、殴って、殴られるのが普通だった。誰も本当のことを教えてくれなかった。なぜ自分だけが、こんな目にあうんだろう――上京して芸人となった石山の前に現れる、過去の全て。
ここにいるのは、出会いと決断があったから。

兼近大樹さんの初小説『むき出し』に届いた読者からの感想を公開したところ、さまざまな反響があり、さらに多くの感想が届いています。

その中からの一部を、第2弾としてご紹介します。


主人公石山大樹の「困ってる人を助けるんだ」と言う純粋な思いから始まる行動や言動に共感もあれば、苛立ちも感じました。

人の心と身体を殺してしまうほどの、暴力や暴言を吐く石山。だけど、それと同じぐらい石山自身も傷つき苦しんでいる。そんな主人公の心情が読んでいて苦しくなり、切なくなりました。“法で裁かれない悪を感じれる” 本当は優しい人間なのに。と……そんな物語を読み進める中、要所要所に散りばめられた、美しい風景描写が私の心を穏やかにしてくれました。

私の知らない世界を石山の成長と共に知ることができ、私自身の心が、この本を読んだあと少し変化しました。人間が愛おしくなり、みんなと一緒に生きたい。と思いました。私の中で「むき出し」は、数ある本の中で何度も読みたくなる大切な一冊になりました。(アイアイ)


誰かの中の石山たちへ「届け」と祈るように、輝いてるむき出しの太陽たちは、明日も明後日もひたすらに燃えているのかもしれないと思いました。

燃えるようなカバー絵も大好きですが、むき出しをむき出した中の、銀色のハードカバーが本当に素敵。

まるで、一面雪で覆われた心の中みたいです。触った感じも、踏み固められて凍ってる雪のようだし、壁のようにも感じる。そこに届いてくる雪か、光のような粒も優しい。知らない人も多いかもしれないけど、かまくらとか、雪の中ってあたたかいんだよなーとか。自分の昔過ごした故郷の景色や、そこをひたすら歩いていた自分のことも少し思い出したりしました。きっと一生忘れないんだとおもいます。なので、この本を丸ごと、ずっと大事にしようと思いました。(御かき)


主人公石山くんのみている景色がみえるようでした。

眩い太陽に勝負を挑んでしまうほど無鉄砲でやんちゃな子が、つらい経験と沢山の葛藤を抱え、世の中や自分自身との矛盾と戦いながら、徐々に成長していくのも手にとるようにわかりました。自らに刻み込まれた暴力の意味に向き合い、自分の正義を行使した結果を疑う、その姿は、痛々しいほどでした。

そして、大切なひととの出逢いや自問自答した果ての気づきを経て、お笑いという活路を見出した彼は、むきだしの太陽みたいにみんなを明るく照らしてくれるのだろうな……という希望が持てました。

小説の核にあるのは、とてもきらきらとした愛のかたまりでした。(くろ)


この本を読むまで、この社会には様々な人が居るとホントにふわーとした感じで思っているだけでした。自分と違う環境で育って来た人と話す機会も無ければ、過去を知る事もなかなかないと思います。

この本を読んで、大人からただ押さえ付けられる様に怒られる事で、子どもが混乱している様子などがリアルに描かれていて、この時子どもはこう思っていたんだと納得出来ました。

誹謗中傷もそうだし、集団生活をする中で一人一人がもう一度頭を柔軟にして耳を傾ける姿勢を正す事が大事なのではないか? と思いました。普通とか異常とか分けたがる社会ですが、その人の背景にある物はみんな違うわけで何が普通で何が異常なのか? と思うようになりました。それはその人の価値観にしか過ぎないと思いました。

人に優しくなるという本当の意味が少し分かった気がします。(スクリーマーズ)


行間から伺える、己の心情や過去と真っ直ぐに向き合う姿勢やストレートな表現、叙情的な風景・人物描写、過去と現在がリンクする場面など、全てに惹き込まれました。久々に、読み終わるのが勿体ないと思ってしまう本でした。

特に印象的だったのは、貧困による教育格差がリアルに生々しく描かれていて、しかも同じような境遇の低下層の私の幼少期とは似て非なるものだったという事でした。

『貧困』にはグラデーションがありサポートのメソッドも千差万別なので一括りにしてはいけないと改めて感じました。(よつもく)


すぐそばにある闇に隠れた現実をこれほどまで簡単に明白に教えられるとは。

石山大樹の成長には嘘がない。いわゆる実物教育だが、その過程は壮絶で傷が深い。

自らと傷つけた相手、助けられなかった人の癒しのための巡礼のような小説。

純粋な言葉で綴られているからか、より深く刺さる。(めぐみ)


何度も同じ行を読み、何度も行ったり来たりをして、その時の主人公の気持ちになってみようと思ったけれど、無理でした。自分が置かれた環境があまりにも違いすぎて、同じにはなれなくて…だけど、この時に出会えていたら、何か出来ることがあったかもしれないと思ったら、なんだか泣けてきて、すごく切なくなりました。

主人公の心や体の成長と、周りの環境の移り変わり、全てが時を同じくして変化していく様が、鮮明に色濃く表されていて、読みやすいのと理解しやすい描写が素晴らしかった。

どんな環境にいて苦しくて辛くても、人を恨むことをせず、ただただ、自分を認めて欲しくて甘えたかった感情のまま生きた主人公に、出会った全ての人達が太陽のように照らす道標になったのだろうと思えました。

優しさとは、彼のようにさり気ない部分で、誰にも分からないようにその相手に向けられたものであることだと、この本を読んで教えられた気がします。(ゆーこりん)


自分自身の生い立ち、生活環境と酷似してる部分が多く読みながら感情移入してしまい最初は辛くなりましたが、読み進めていくと面白い話もあり、一気に読めました。読んだ後に、私はひとりじゃないのかもしれないと妙な安堵感が残りました。

同じ思いを抱える青年が、同じ時代を同じ街で過ごし、似たような体験をしてきたにも関わらず、彼は人生を変えれたんだ、もしかして私も変わることが出来るのかも知れない、生きていてもいいんだ、と思えて溢れる涙を止める事が出来ませんでした。

情景描写が素晴らしく、流れるように頭に風景が浮かびまるで映画かドラマを見ているかの様でした。著者が常に言葉で伝えている、当たり前に感謝すること、乗り越えられない壁はない、乗り越えられないなら回り道すればいい、を改めて感じる事が出来、少しだけ生きる道に灯が見えました。(しょうこ)


まずは全体像を掴みたくて一気に読みました。主人公と一緒に大人に成長していく1回目。大人になった主人公と一緒に過去をじっくり振り返る2回目。その過去を背負いながら社会を望む3回目。その途中、要所要所に散りばめられた、無数の仕掛け。確実に私も一緒に大人になっていく、その過程も味わうことができる、こんな面白い作品は初めてです。

まだまだ全然足りない。何度でも味わいたい。心が育つ、を体感しています。こんな本をずっと待っていました!! クレームがあるとすれば、読後は小説の中だけでなく実社会の色々な人たちの背景、街ゆく人々の背景さえも、普段より感じすぎちゃって見えすぎちゃって、いま、若干人酔いしています(笑)しばらく1人になりたいです(笑) (エマ)
 


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単行本
むき出し
兼近大樹

定価:1,760円(税込)発売日:2021年10月27日

電子書籍
むき出し
兼近大樹

発売日:2021年10月27日

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