伊藤理佐さんの漫画作品を原作としたドラマ「おいハンサム!!」で、主人公の伊藤源太郎を演じるのは、さまざまな舞台・映画・ドラマで観客を魅了し続ける俳優・吉田鋼太郎さん。東京の下町の一軒家に妻と暮らす源太郎には三人の娘がいるが、彼女たちは各々に事情を抱えているようで――。令和の時代の家族ドラマを、吉田さんはどのように演じるのか。
吉田 伊藤理佐さんの作品は、吉田戦車さんとご結婚されたのをきっかけに読むようになったんです。もともと吉田戦車さんがすごく好きだったんで。
伊藤さんのことはもちろん知ってはいたんですけど、女性向けだったので読む機会がなかったんですよね。読んでから、「もっと早くに読んでおけばよかった」と思いました(笑)。すごくおもしろい。
今回、令和の時代に、いわゆる「昭和の頑固親父」を演じることになったわけですけれども、やはり昭和の頑固親父というと寺内貫太郎のイメージがあります。
実際の昭和の親父というのはほんとうに酷くて、リアルなものはオンエアできないと思いますし、今の時代にはあわないので、もっとマイルドな、現代と融合した世界観になると思います。
僕は向田邦子さんの作品がドラマもエッセイも小説も大好きで、『父の詫び状』も何度も読みました。いつかは『あ・うん』をやってみたいと思っているんですよ。向田さんの作品は、和やかな中に厳しさのある、絶妙な脚本ですよね。ああいうヒューマンドラマみたいな感じも出せるといいと思います。
演じるときには、台本を正しく読みとることが大事だと思っていますので、今回の作品も、どこまでコミカルにできるか、リアルさを残しつつ演じていくのは手探り状態ではありますね。ドタバタ劇というよりは、じんわり面白い、そういう作品になると思います。
吉田鋼太郎が考える令和の「いい男」とは!?
吉田 三姉妹の父親役ですが、姉妹それぞれ個性がありますよね。僕は三匹の犬を飼っているんですけれど、三匹もいるとみんな個性が違いますから、人間の姉妹ならなおさらでしょうね。
彼女たちにとってどういう男性が相手としていいか、どういう人が「いい男」というのかを考えると、やはり娘に優しい人でしょうか。大事にしてくれる人。
自分にも、娘が生まれましたから、娘を持った親心として、どんなに成長しても、いつまでも心配なのは変わらないでしょうね。
「いい男」というのを考えてみると、人に接するときに、優しくできる人だと思っています。自分もそうありたいと思いますが、それがなかなか難しくて、できないことではあります。基本的に優しい心を持っている人がいいと思います。
もうひとつ、今回のドラマは「食」もテーマのひとつなんですが、自分のなかでのこだわりは、食べる環境をきちんと整えて食べるということですね。食べるもの自体はなんでもいいんですが。
たとえば、ダイニングを整頓された状態にするとか、家族一緒の食卓につくとか、食事中はスマホをさわらないとか、そういう環境が大事だと思っています。
プロフィール
よしだ・こうたろう 1959年生まれ。シェイクスピア・シアター、東京壱組を経て1997年に演出家・栗田芳宏と共に劇団AUNを結成。1999年、第六回読売演劇大賞優秀男優賞受賞(「ヴェニスの商人」出口典雄演出)、2001年、第三六回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞(「ハムレット」出口典雄演出、「リチャード二世」山崎清介演出)、2014年、第六四回芸術選奨文部科学大臣賞演劇部門受賞(「ヘンリー四世」蜷川幸雄演出)。
番組情報
東海テレビ×日本映画放送 共同製作連続ドラマ フジテレビ系全国ネット 土ドラ「おいハンサム!!」
https://www.tokai-tv.com/io/oihandsome/
2022年1月8日スタート 毎週土曜日23時40分~ CAST:吉田鋼太郎、木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈、MEGUMI 他