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透明ランナー「越後妻有 大地の芸術祭 2022」――広大な里山に囲まれたアートを巡る

透明ランナー「越後妻有 大地の芸術祭 2022」――広大な里山に囲まれたアートを巡る

WEB別冊文藝春秋

透明ランナーのアート&シネマレビュー「そっと伝える」

 かつて、圧倒的な情報量と縦横無尽なフットワークで名を馳せたツイッタラー、透明ランナー。そんな彼がアート&シネマを中心に、いま気になっているものを、あなたにそっと伝えます。記念すべき第一回は新潟県南部で開催中の「大地の芸術祭」へ……。

 はじめまして。あなたの代わりにそっと観てくる「透明ランナー」です。
 これから気ままに、アートや映画など「これを伝えたい!」というものたちをご紹介していきます。
 月に3~4回のペースでお届けできるのではないかと思います。

 まずご紹介したいのは、新潟県南部の越後妻有地域で行われている世界有数の国際芸術祭、「越後妻有 大地の芸術祭 2022」です。2000年に第1回が開催されて以降3年に1度行われてきましたが、新型コロナウイルスの影響で延期され、1年遅れて2022年の開催となりました。
 4月29日(金)から11月13日(日)までの145日間、松代、十日町、津南、川西、中里、松之山の計6つのエリアからなる特色豊かな地域に300以上の作品が並びます。今回は、その中でも松代、十日町、津南エリアの新作を中心に、見どころを紹介していきたいと思います。
(写真:透明ランナー)

松代エリア

 まずは、ほくほく線まつだい駅に隣接するまつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」から。この建物は第2回(2003年)の際に作られ、その後も継続的にさまざまなイベントが行われる文化的拠点となっています。今回は「カバコフの夢」と題し、旧ソ連(現・ウクライナ)出身の世界的アーティスト、イリヤ&エミリア・カバコフの全9作品からなるアーカイブが設置されることになりました。

 カバコフはソ連時代非公認芸術家の烙印を押され、発表するあてのない、純粋に自分たちだけのために作品を制作していました。
 1970年代前半に制作された「10のアルバム 迷宮」は、10人の夢想家を主人公とする物語と絵で構成された長大な絵巻物です。クローゼットに閉じこもって生活し、いつの間にか姿を消した男の子、会議中に資料の余白に絵を描くうちに真っ白な紙でも端にしか絵を描けなくなった男、空中で生きることを夢見る男など、一風変わった人物を巡る幻想的な物語が展開されていきます。今回の展示では10のアルバムが再構成され、迷宮のように入り組んだ台座に屏風状に並べられています。

イリヤ&エミリア・カバコフ「10のアルバム 迷宮」2021
私が好きな物語は「クローゼットにこもるプリマコフ」です。クローゼットの中の真っ暗闇と外光の眩しさが対照的なイラストで表現されています。

 農舞台から山道を10分ほど登っていくと、新作「手をたずさえる塔」が見えてきます。民族・宗教・文化を超えたつながりを表現するこの塔は、日没後に点灯され、世界や地域の情勢を反映して色が変わる仕組みになっています。
 塔の内部には「手をたずさえる船」の模型が収められています。カバコフがデザインした船に子供たちが描いた絵をパッチワークのように組み合わせて帆を作り、実際の海に出航させるというプロジェクトで、2005年からエジプト、スイス、キューバ、ロシアなど世界各地で実施されてきました。

 

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