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「フィクションはもっぱら映画で摂取していました」作家・逢坂冬馬が語る、本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』誕生の背景とは

「フィクションはもっぱら映画で摂取していました」作家・逢坂冬馬が語る、本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』誕生の背景とは

「週刊文春」編集部

逢坂冬馬(小説家)――クローズアップ

出典 : #週刊文春
ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ

「高校生たちに4時間以上も議論を重ねて選んでいただき、ありがたいと思っています。選考会当日の昼間、私は映画のオールナイト上映に行った翌日で寝ていました(笑)」

 全国の高校生が直近1年間の直木賞候補作から今年の一冊を選ぶ「高校生直木賞」。第9回の今年は38校が参加し、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』が受賞した。

 逢坂さんと佐藤究さんによるオンラインのトークイベントが、8月20日15時から行われる。高校時代から作家デビューにいたるまで、作品誕生の背景などを語る。

 逢坂さんは、合唱部に所属していた高校時代、本をあまり読んでいなかった。

「ぼくの少年時代は、映画がテレビで木曜から日曜まで夜9時から放映されていた。ラインナップも多種多様で、『シェーン』のような古典的名画、クエンティン・タランティーノやデヴィッド・フィンチャーの作品などに出会ったんです。フィクションはもっぱら映画で摂取していました」

逢坂冬馬さん

 本を読むようになったのは、大学入学後。知見が拡がるのが楽しくて学術書やノンフィクションを読むようになり、社会に出てから古典の面白さに気づいて小説を読み始めた。そんなある日、自分で物語を書いてみようと思った。

「書いている間は夢中になっていて、抱えていた不安が文字に出力することで解消されていく。体力的に大変でつらいこともあり、書き終わってしばらくは再起不能でした」

 だが、10年以上、長編小説を新人賞に応募し続けた。

「日本のフィクションの世界では語られない“独ソ戦”を描きたいと思っていました。アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が岩波現代文庫で刊行されるなど、戦争を語る感覚が変化し、資料も増えてきた。テーマも資料も揃って『同志少女よ、敵を撃て』を書き始めました」

 小説家志望者にこうアドバイスする。

「失敗や落選を恐れないで欲しい。小説を書く喜びを感じた瞬間を大切にしていくことが重要です。それが書いていく動機だから。ぼくにとって、小説を書くという営みは人生のプラスになっていました」

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