“文庫書き下ろし時代小説”というスタイルを確立し、1999年刊行の『密命』から25年の間に、300冊もの新作を書き続けてきた佐伯泰英さん。
佐伯さんから読者の皆さんへの感謝の気持ちをこめて、2024年1月4日発売の300冊目『恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)』(文春文庫)と、同11日発売の301冊目『陰流苗木 芋洗河岸(1)』(光文社文庫)それぞれをお買い上げいただいた方全員に(初版の初回出荷分のみ)、特製のしおりをプレゼントすることになりました。
しおりには佐伯さんのポートレイトと、佐伯さんが旅先で出会った風景が両面にカラー印刷されています。どんな写真なのかは、実際にお手元でご覧いただくとして、その制作の舞台裏を少し披露します!
まず、『恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)』(文春文庫)のしおりは、表面がヨーロッパの街並みにたたずむ佐伯さん。2023年5月に、オランダで開催されていた大規模なフェルメール展を鑑賞するために旅に出た佐伯さんが、フェルメールの故郷の街であるデルフトで早朝、「旧教会」(フェルメールのお墓もあります)の前で散歩を楽しんでいます。空には、のぼったばかりの太陽が。すがすがしい朝の空気が感じられます。
裏面は、鮮やかな赤が印象的な、2017年11月の旅での一枚です。撮影場所はフランス・パリ。冬のパリの光の中で佐伯さんが見た色です。フランスといえば、ワインの本場! 赤ワインが好きな佐伯さんは、美味しいワインを買おうと午前中からお店を訪ねますが、残念ながら開店前。「予定していたワイン選びがならぬなら」と、近くにあったカフェで時を過ごすことに。店内に一歩、足を踏み入れ、「あっ、パリに来た」と感じて、思わずシャッターを切ったことを覚えているそうです。しおりでは、カフェの雰囲気を特徴づけていた、存在感抜群の照明器具を大きく切り取っています。照明ひとつに至るまで粋。さすがパリ、と唸らせられます。佐伯さんはこのパリ滞在中、お付き合いのあるフラメンコダンサー・小島章司さんの舞台を鑑賞し、その後はイタリアへと足を延ばされました。
佐伯作品の特徴である、自由でのびやかな発想の背景には、旅先での人やものとの出会いがあることを実感します。
一方、『陰流苗木 芋洗河岸(1)』(光文社文庫)に入るしおり。こちらの表面は、佐伯作品ファンにはなじみの深い熱海・惜櫟荘での横顔。佐伯さんの正面の壁にかかるのは、かつてこの地を訪れたポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダの筆による絵画です。左手前は、京都・祇園のお正月の縁起物である福玉と餅花。1月に贈るのにぴったりの一枚を、佐伯さんが選びました。
裏面は、ベトナム特有の笠をかぶり、天秤棒を担いだ売り子をとらえた写真。2010年11月にハノイで撮影されました。場所は、ドンキンギアトゥック広場。訪れたことがある方は、少し不思議に感じるかもしれません。この広場は週末の夜は歩行者天国になり、ナイトマーケットも開かれるハノイのランドマークともいわれる場所です。こんなに人がいないなんて、早朝?と思ったら、さにあらず。広場に面したビル上階のカフェからのショットですが、実は、売り子と静けさを感じる路面のまわりには、多くのバイクと自動車が行き交っていたのです。
写真の切り取り方でガラッと雰囲気がかわる面白さは、佐伯作品の人物描写の妙にもつながると感じる仕上がりです。
佐伯さんの執筆意欲はますます盛んです。302冊目以降の新作もご期待いただき、佐伯作品の読書のおともに、ぜひ、特製しおりをご愛用ください!
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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