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編集長が語る【オールの讀みどころ】 2025年1・2月号は総力特集「読書と安眠」&「大人の恋愛小説大賞」発表!

編集長が語る【オールの讀みどころ】 2025年1・2月号は総力特集「読書と安眠」&「大人の恋愛小説大賞」発表!

文:「オール讀物」編集部


ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ ,#歴史・時代小説

「本の話」を読んでくださっているみなさん、ご愛読ありがとうございます! 「オール讀物」編集長の石井です。

 5人の精鋭でつくっているオールの裏話、日常のよしなしごとについては、note不定期連載の編集部だより「オールの小部屋から」で発信しておりますので、チェックしてみてください! 定期購読者向けにニューズレターもお送りしております。こちらもぜひ、定期購読をお申し込みの上、お楽しみいただけたら幸いです。 

 この「本の話」の隔月連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、渾身の企画を紹介していきます。「オール讀物」新年号ではいつも健康や長寿を考えることにしておりまして、今回は、総力特集「読書と安眠」。「新たな年はぐっすり眠ろう!」という企画を組みました。

1・2月号では17年ぶりに表紙絵をリニューアルした(表紙絵・石居麻耶)

 数年前、浅田次郎さんが「不眠に悩んでいる」と小耳にはさんだことが、今号の企画のきっかけです。いまや老いも若きも、リタイア世代も子育て世代も、こぞって睡眠を欲し、睡眠の悩みを抱えているといいます。高齢世代の代表として浅田さん、睡眠の専門家として柳沢正史先生をお招きして、念願だった対談がついに実現しました。文春にやってこられた浅田さんの第一声が忘れられません。

「今日は対談のつもりで来ていない。診察を受けるつもりで来ている」

 その言葉どおり、文藝春秋の会議室はまさに診察室と化しました。浅田さんには2晩にわたって睡眠時の脳波を測定してもらっていたのですが、そのグラフを見ながら一問一答、柳沢先生による具体的なアドバイスがつづきます。眠りが浅い(と思っている)私も、ついでに脳波を測らせてもらいまして、40代後半、働き盛り代表として、先生に睡眠チェックをしていただくことができました。「眠りを取り戻す」と題したこの対談、他では絶対に読めない記事だと自負しています。

睡眠研究の権威・柳沢正史さん(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授)

 ほか、101歳を迎えた佐藤愛子さんの新春談話「わが睡眠」(近況報告も!)、保存版ブックガイド「入眠のための18冊」と、合計21ページの総力特集です。お楽しみください。

 もう1つの大きな企画は、第4回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」です。侃々諤々の議論をへて、斜線堂有紀さん『星が人を愛すことなかれ』(集英社)が受賞作に決しました。毎回、本賞では「大人の恋愛とは何か?」が議論の焦点となります。とくに今回は、「大人」の概念も「恋愛」の概念も時代とともに変化しているのではないかとの意見が支持を集め、地下アイドルの世界をテーマに「推す」側「推される」側の心情を丁寧に描いた斜線堂作品が栄冠に輝きました。候補5作はいずれも個性きわだつ傑作で、併せて読むと、いまの「恋愛」の射程の広さを切実に感じることができると思います。

大人の恋愛小説大賞を受賞した斜線堂有紀さん

 オール讀物が隔月刊誌になったのにともない、「大人の恋愛小説大賞」はひとまず今回でファイナルとさせていただくことにしました。選考委員の書店員さんや予備選考に携わっていただいた書評家・ライターのみなさんの「オールタイムベスト恋愛小説」も掲載しています。ここに挙げられた永遠の名作群は、年末年始、恋愛小説に浸りたい人にはうってつけの読書ガイドになっています。ぜひチェックしてください!

 新春縁起物企画も目白押しです。髙見澤俊彦さんと神田明神・岸川雅範さんによる「神様について語ろう」は、初詣やお節といったお正月行事と神道の関係について鋭く迫ります。久世番子さんの漫画で読む歌舞伎「仮名手本忠臣ぐらぐら」は抱腹絶倒のコミックエッセイで、笑いながら読んでいるうちに自然と「仮名手本忠臣蔵」の筋立てが頭に入ってしまいます。2025年3月には歌舞伎座での上演も予定されている「仮名手本忠臣蔵」。ぜひ漫画で予習しておくとよいのではないでしょうか。さらにお正月といえば箱根駅伝ということで、「山の神・柏原竜二が語る『俺たちの箱根駅伝』」も必読です。毎年恒例「年男・年女の初詣グラビア」も眼福至極、運気横溢で、思わず手を合わせたくなる写真が並びます。

「箱根駅伝」山の神・柏原竜二さん

 新連載は豪華2本立て。原田ひ香さんの新シリーズ「#台所のあるところ」と、堂場瞬一さんの長編「死と金」です。原田さんの第1話「ままならないキッチン、ままならない人生」は、定年退職した夫が海外ボランティアへ出かけ、子どもたちは独立し、気がつくと「家には誰もいなくなっていた」妻が主人公。独り暮らしになり、買い物の量のコントロールにとまどうなか、長年使っていた冷蔵庫の具合が悪くなる。この日常のディテールが本当にすばらしく、一行一行の描写に思わずしんみりしてしまう、お正月の読書にぴったりの新シリーズが始まりました。

オール讀物初登場となる原田ひ香さん

 六本木署を舞台にした堂場瞬一さんの「死と金」には、セレブ専門の捜査員が登場します。何かとトラブルに巻き込まれがちな上流階級に応対する二階堂刑事。なぜ二階堂がこの任に就いているかというと、彼自身がセレブの出だから――。この設定が抜群にユニークな上、ちょっと鼻につく二階堂刑事のキャラクターがまた面白い。原田さん、堂場さんともに、第1話から雑誌で追いかけていただきたい新連載です。

 新年号おなじみの第172回直木賞候補作発表朝倉かすみさん、伊与原新さん、荻堂顕さん、木下昌輝さん、月村了衛さんのインタビュー)もありますし、歴史時代小説特集として、夢枕獏さん「陰陽師」宮城谷昌光さん「三国志名臣列伝」、畠中恵さん「まんまこと」坂井希久子さん「江戸彩り見立て帖」、宮本紀子さん「煮売屋お雅 味ばなし」と、新春らしく人気シリーズそろい踏みです。諸田玲子さん、川越宗一さん、村木嵐さん、砂原浩太朗さん、高瀬乃一さんの読み切り短編も!

第172回直木三十五賞候補作

 NHKドラマ10「宙わたる教室」が惜しまれつつ最終回を迎えましたが、伊与原新さんによる「宙わた」シーズン2がオール讀物で始まっていることをご存じでしょうか。今号には「ピタゴラ・ボーイ」が掲載されています。ぜひ、東新宿高校定時制の面々に会いに来てください!

 現代小説読み切りとしては、今野敏さん「倉島警部補シリーズ」がなんと一挙2作掲載! 石田衣良さん「池袋ウエストゲートパーク」はシーズン21が快調に進んでおりますし、赤川次郎さん「幽霊シリーズ」ほか、恩田陸さん、嶋津輝さんの短編もじつにユニークで、読み逃せません。

 連載コラムも充実しておりますが、あえて1つご紹介するなら、NHK「新プロジェクトX」にも出演した初代警視庁犯罪捜査支援室長・服藤恵三さん「科学捜査官の目」は、いま日本を震撼させているトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)に迫ります。「闇バイト」の歴史を辿っていく圧巻の回になりました。

 読みどころいっぱいの「オール讀物」1・2月号をどうぞよろしくお願いいたします!

 

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雑誌・ムック・臨時増刊
オール讀物2025年1・2月号
オール讀物編集部

定価:1,500円(税込)発売日:2024年12月20日

プレゼント
  • 『PRIZE―プライズ―』村山由佳・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/12/27~2025/01/03
    賞品 『PRIZE―プライズ―』村山由佳・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

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