
井沢釈華の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。
両親が終の棲家として遺したグループホームの、十畳ほどの部屋から釈華は、某有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。
ところがある日、グループホームのヘルパー・田中に、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。
書名(かな) | はんちばっく |
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ページ数 | 144ページ |
判型・造本・装丁 | 文庫判 |
初版奥付日 | 2025年10月10日 |
ISBN | 978-4-16-792425-6 |
Cコード | 0193 |
【2025 国際ブッカー賞ロングリスト】【2025全米図書賞・翻訳文学部門ロングリスト】に選出!
23の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化!
「私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。
ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。
【文庫版の特徴】
・ルビを大幅に増やしました。
・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。
井沢釈華の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。
両親が終の棲家として遺したグループホームの、十畳ほどの部屋から釈華は、某有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。
ところがある日、グループホームのヘルパー・田中に、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。
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打たれ、刻まれ、いつまでも自分の中から消えない言葉たちでした。この小説が本になって存在する世界に行きたい、と強く望みました。
村田沙耶香
小説に込められた強大な熱量にねじ伏せられたかのようで、読後しばらく生きた心地がしなかった。
金原ひとみ
弱さが強さに反転している。笑いと知性に満ちた傑作。
吉田修一
健常者をムチ打つ悪態のカデンツァ。爽快極まる露悪趣味。しびれました。
島田雅彦
すごいもの読んだ…内容にも文章にも圧倒されて感想が言葉にならない。文章がとても強くて、油断してるとぶん殴ってくる。
川俣めぐみ(紀伊國屋書店横浜店)
もちろんヘビーな内容だがどこか愉快で痛快でもあり、ワクワクするような気分とズドンと突き落とされるような気分の両方が同時に来る不思議な読了感を味わっている。
花田菜々子(蟹ブックス)
どこにもないわきあがるものがここにあった。読んだというよりその叫びを容赦なく叩き込められた。自分が受けた心の痛みは著者にとっては糞だろう。糞みたいな痛み、初めての痛みが鈍痛のように貫き続けている。
山中真理(ジュンク堂書店滋賀草津店)