累計300万部を突破した、奥田英朗さんの「トンデモ精神科医・伊良部シリーズ」。
プール依存症や携帯電話中毒など、奇妙で深刻な悩みを抱える患者たちが、破天荒すぎる精神科医・伊良部一郎のもとを訪れる人気シリーズです。

最新刊『コメンテーター』の文庫化を記念して、本作に登場するトンデモ精神科医・伊良部に、「解決してもらいたい悩み」を読者の皆さんから募集。
集まった沢山のお悩みの中から10件を厳選し、伊良部と看護師のマユミに、マイペースに答えてもらいました!(1回目/全3回)


お悩み① 勉強に集中できません(しまさん・19歳)

私は現在1浪の浪人生です。そんな私の悩みは、もちろん勉強の進捗度合いについてです。私は普段から小説を読むのが好きなのですが、ついつい読み入ってしまい勉強に支障が出ることが多々あります。また、この悩みが解決しない大きな要因が読書という行為にあります。私の両親は本を読んでいる事に対して指摘はしてこないですし、私もスマートフォンを触るよりも良いだろうと決めつけている節があります。そこで伊良部先生に相談です。どうすれば読書から勉強にうまくシフトできるようになりますか? (しまさん・19歳)

我慢する→我慢できなくなり禁を破る→罪悪感に苛まれる。これが悩める人のパターンなんだよね。だから初めから何かを禁じるのではなく、ノルマを果たした後の自分へのご褒美として考えればいいわけ。2時間勉強したらご褒美に1時間読書をしてもいい、とかね。そうすれば堂々と読書ができるし、勉強もできるって寸法。「伊良部シリーズ」は1本読むのに1時間くらいかな。いい頭の休憩じゃん。(伊良部)

2浪でも3浪でもすれば? 人生ってさ、好きなことをするのが一番だし――。なんて開き直ると、わたしのようになる。あんた、わたしになりたい?(マユミ)

 

お悩み② 部屋が片付きません(アコさん・36歳)

自分の部屋を片付けたいと思うのに全然片付ける事が出来なくて汚いです。もう使わないなと思っていてももったいなくて処分する事が出来ないのですが、どうしたら良いでしょうか。(アコさん・36歳)

持ち物すべてに名前を付ける。タクヤとか、ピーターとかさ。そして毎日話しかける。すると半分は憎たらしくなり、捨てることになる。きっとそうなる。(伊良部)

先生、アタマ大丈夫? 自分の部屋を写真に撮ってSNSにアップしてさ、どれを捨てるかみんなに投票してもらうといいよ。で、捨てるごとに今度は反対意見で炎上して、みんなの娯楽になるの。楽しそう。で、物は減る。悩むことないじゃん。(マユミ)

 

お悩み③ 愛犬がかわいすぎてつらい(わんわんさん・55歳)

愛犬のトイプードルがかわいすぎて困っています。ネロという名前で男の子です。いま6歳ですが、平均寿命を考えると一緒にいられるのはあと⾧くて10年ほどと思うと、辛くて涙が出てきます。愛犬のいない生活なんて考えられません。ネロのいなくなった世界を生きていける自信がありません。(わんわんさん・55歳)

天国でまた会えると信じる。(伊良部)

まあ、そうね。ペットロスはつらいけど、人間って思い出に励まされて生きているところもあるし、今のうちに楽しい思い出をたくさん作っておくのがいいんじゃない? 患者さんは心の準備が出来てるみたいだし、きっと大丈夫。(マユミ)

イラスト・しまだたかひろ


明日は第2弾を公開します。お楽しみに!