『私たちはたしかに光ってたんだ』(金子 玲介)

 高校生時代に組んだ4人組バンド〈さなぎいぬ〉の成長とその10年後の現在を、“元メンバー”の視点から描いた青春小説『私たちはたしかに光ってたんだ』。『死んだ山田と教室』でデビューし、本屋大賞にもノミネートされた新鋭・金子玲介さんによる話題作です。

 書店員のみなさんが本作に寄せた応援コメントをご紹介します。(全5回中の4回め)


人生で後悔をしたことが1度でもあるならば、きっと共感できる。夢を追いかけることに年齢制限はないのかもしれないが、先の見えてしまった夢の行き先は自分で区切るしかないのだろう。その熱量と屈折した反発力を余すところなく瑞々しく描かれた作品だ。
ブックマルシェ我孫子店 渡邉森夫さん

夢を諦めた人、そして今も夢を追い続ける人。そんな一度でも全力で頑張った経験のある全ての人に捧げたい。この小説の中で、彼女達や私達の、眩しくて懐かしくていつまでも消えない光が輝いている。
丸善津田沼店 安井理絵​さん

思った以上にど直球勝負だった。友達でノリのように組んだバンド。中心にはカリスマを持った人間がいてピカピカ光ってる。憧れで大好きで、その人は才能にあふれてる。だから自分の限界が見えちゃって辛い。このムズムズする状況を青春と言わずとしてなんと言おう! 音楽じゃなくてもなにかに打ち込んだ記憶があればその誰もが私たちは光ってた事を思い出させてくれる作品だった。序盤に「シャングリラ」を演奏するシーン。ドンチーとかベベベーとか、MV見ながらだと読むとあまりにもそのままでびっくりして笑ってしまった! 文字で音楽を感じた。
紀伊國屋書店ゆめタウン広島店 藤井美樹​さん

瑞葉はあの頃のわたしだ。恥ずかしいことを言ってしまうと、何者かになりたかった。でもなれなかった。自分が凡庸な人間だと思い知ったあの頃を思い出す。忘れていた痛みとキラキラした気持ち“青春”と呼ばれたあの頃から随分遠くにきてしまった今だからこそ直球で心に響いた。不思議なことに金子玲介作品は忘れていた何かを思い起こさせる底知れぬパワーに溢れているし、今の自分はあの頃があるから堂々とここにいる。
くまざわ書店稲沢店 大洞良子さん

ぎゅっと目を細めてしまうほど、まぶしい青春の光。この光は痛々しいのにとても愛しい……! 瑞葉たちのバンド、さなぎいぬが駆け抜ける高校時代のキラッキラの青春に脳を焼かれ、うわ〜! 楽しい〜! かっこいい〜! からの、天才の朝顔と一緒にバンドを続けるなかでの瑞葉の苦悩、バンドをやめてからの苦悩に共感しまくって、私も苦しかったです。(ちなみにバンドも会計士も経験ありません。)212ページの1行目、もう一生そのキラキラに勝てない。あの頃の私が眩しすぎて、このあとの人生が、ぜんぶ暗い。ここなんて、本当に苦しい……! というか大人になればなるほど、こういう気持ちになる瞬間って結構あって、ここらへんが刺さりまくる読者も多いはず。でも、光散らかしてくるラストで浄化されます! 間違いなく光ってたんだから……! 光を浴びまくってヒリヒリしちゃう一冊でした。めちゃくちゃおもしろかったです!
TSUTAYAサンリブ宗像店 渡部知華さん

ベーシスト室瑞葉の心象、迷いや割り切れなさなさ感、読み進める事に自分も切ない気持ちになってきました。きらきらした青春の思い出、まさしく『ボトルシップ』の歌詞の世界ですね。『さなぎいぬ』とてもかわいいバンド名ですね。
未来屋書店日の出店 關在我さん

光っている時間は短くて、でも岐路に立っている。答えを出すのに光は眩しくてたまらない。どちらの私も人生。ならば自力でまた光を取り戻すしかない。人間って素晴らしい。
有隣堂ららぽーと海老名店 塚田亜紀子さん

青春ってこんな眩しいのか。とうの昔に青春を終えたはずなのに、この本を読んだら私まで青春をリプレイした気がする。光のなかにいたらどんなに輝いているのか気が付かないものなのか。音楽の描写が具体的すぎて、小説を読んでいるはずなのに生音を聞いてる気分になった。
東大生協本郷書籍部 内山博子さん

青春を一気に喰らった一冊でした。主人公瑞葉の現在とのギャップが、より一層バンド時代を輝かしくも儚いものにしており、胸を締め付けられながら、読みました。さなぎいぬが結成からどんどん高みを目指すにつれ、いつか訪れる瑞葉脱退を読みたくない!と地団駄踏みながら読み進めました。世界観に引き込まれる演奏中の描写は、読んだことがない形式で、読んでいるのにバンドを見ていて、聴いていて、読める音楽でした。(チャットモンチーのシャングリラを流しながら読んだら尺がぴったりすぎて震えました……)
私はバンド経験がないですが、もしあったなら、正常な気持でこの小説が読めないほど、感情丸出しの描写が鮮明でした。世の中に数多あるバンドのストーリーにも、思いを馳せずにはいられない読後です。
紀伊國屋書店富山店 山口菜絵さん

ライトが当れば、自分ではわからなくても客席からは光り輝いて見える。一心不乱に進んだ青春は、何でもない過去ではない。夢に対する情熱と執着は、確かに俺の鼓膜を揺らしたのだから。
BUNKITSU TOKYO 成生隆倫さん

たとえば自分には届かない光へ、すがりつきたくって、思い上がって、勝手に転んで、傷ついて、諦めて、ため息つきながら、でもそんな色んな捨てられない、忘れられない思い出の荷物を両手にたくさん持つことができる人は、本当に「才能」があると呼べるんじゃないか。ずっと何をしても達成感に満たされずに悩んでも、それでもあんたは大丈夫と励まそう。自分の不甲斐なさに文句を言って、真剣に喧嘩して、くだらないことで笑い合いながら、自分たちをとことん愛し抜いていこう。瑞葉みたいにわたしはそんな人生を送ってきたし、これからも過ごしていく、って自信を持って胸を張ってもいいじゃないか。
大盛堂書店 山本亮さん

始めの方の「シャングリラ」を演奏するシーン、配信から曲を掛けながら読んで鳥肌が立った。曲の進行と読んでいく文章がぴったりとシンクロしていて、歌詞が始まってからもずっとそれが続いていて、文章がそのまま曲になったような、あ、逆か、曲がそのまま文章になったような、ページから音が鳴っているような体験でした。(こんな感覚は『羊と鋼の森』『蜜蜂と遠雷』を読んで以来かもしれません。)
この世の中の大多数はたぶん朝顔にはなれなくて、瑞葉のように(あるいはもっと手前で)夢をあきらめて、それでも人生を生きていく。選んだ道はいいところも悪いところもあって、だいたい幸せで、たまに懐かしんだり、夢の続きを想像したりしながら日々を生きていく。
ずっと光り続ける人生ばかりじゃない。いつ光があっても、その光があるだけで、人生は輝く。夢を持ったことのある人への力強い応援歌だ。
くまざわ書店松戸店 加藤敏之さん

最高以外の言葉が見つからないのが悔しい!!てくらい、すっごくすっごく良かったです!! 「キラキラした学生生活! バンド活動をやってみたい!」あのころ出来なかった経験をこの本を通して擬似体験させてもらいました。ありがとう金子さん! ありがとうさなぎいぬ!! 青春という尊い時間がここに!
紀伊國屋書店泉北店 今中美由紀さん

世の中にはまぶしすぎて読めない青春小説もあるのだが、金子玲介の描く高校生はどうしてこんなにも「刺さる」のだろうか。決してキラキラしていないわけではない。放課後に信じられないくらいに使ったムダ話をしただけのあの時間も、夢中になって打ち込んだことも、大人になった私にも確かにあったまぶしい青春の日々なのだが、青春はただ輝いているだけではないということを、軽やかな文章の中に混ぜこんで投げつけてくるのだ。雪合戦の最中に石を投げつけられるような肉体的な痛みをともなう読後感。これはやはり、ものすごい才能だと思う。
成田本店みなと高台店 櫻井美怜さん


『私たちはたしかに光ってたんだ』冒頭ためし読みはこちらから