累計260万部を突破した大人気和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」。2026年中に予定されているシリーズ本編完結を前に特製BOX入りの愛蔵版が刊行される。第1作『烏に単は似合わない』と第2作『烏は主を選ばない』を合本にし、これまで装画を担当してきた名司生さんがイラストを描き下ろし、アクリルスタンドも付属する豪華仕様だ。

 2026年6月6日、紀伊國屋書店新宿本店で開催されたイベントに映像メッセージで登場した著者・阿部智里さんに、愛蔵版刊行の経緯や制作過程、そして現在の執筆状況などを伺った。


「まさか愛蔵版になるとは!」…喜びと驚き

――今回の愛蔵版制作は、どのような経緯で実現したのでしょうか。

阿部:編集さんが「愛蔵版を作ってみない?」と声をかけてくださったことがきっかけです。『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』は、どちらからでも読めるよう、シリーズを作り上げる初期の段階でかなり気合を入れて書いた2作ですし――まあ、気合を入れて書いていない話はないんですけれども(笑)。

 その2作がまさか愛蔵版という形になるとは、正直かなり驚いていました。ただ、この長いシリーズがもうすぐ終わるというタイミングで、記念のように作っていただけたのかなと受け止めています。

愛蔵版の表紙は布張り、金の箔でタイトルや八咫烏の文様が捺される

――愛蔵版に関して阿部さんご自身からリクエストしたことはありましたか。

阿部:リクエストというほどではないのですが、BOXに何を描いていただくかは、かなり話し合いを重ねました。いろんなアイデアが出るなかで、最終的に決定した表紙にはあせびと雪哉、裏表紙には大紫の御前と博陸侯という形は私の意見です。

 作品としての意味づけを出来るのは作者としての特権ですので、せっかく記念として作っていただけるならば、それにふさわしい意味を与えたいと思いました。というわけで、名司生さんの書き下ろしBOXの表裏の構成については、「山内における歴史的偉人たちの記念写真」というコンセプトから生まれています。

名司生さんによる描き下ろしのBOX。側面には「下り藤」がデザインされている

絶対に後悔はさせないと思います

――完成が近づくにつれて、仕上がりへの期待はいかがですか。

阿部:イラストについてはすでに拝見していて、本当に素晴らしいものを名司生さんは仕上げてくださいました! 裏表紙については発売まで非公開にしていますが、皆さんにもどうか楽しみにしていただけたらと思います。多分というか……いや、絶対に後悔はさせないと思います。

 さらに名司生さんがどんなふうにこだわり、デザイナーの野中深雪さんが商品としての形にするためにどれほどの気配りをされているか。ひとつひとつお話を伺うと、プロってすごいなと思うことしきりです。

付属する若宮(奈月彦)、雪哉、澄尾のアクリルスタンドは、これまで発売したアクスタとも大きさがそろう

――書籍本体の仕様などについても、こだわりが詰まっているそうですね。

阿部:私自身も詳細をすべて把握しているわけではないのですが、編集さんたちがサインを書いている私の隣で「これはこうだよね」「でも、こういうふうにしたほうがいいと思うんですよ」というふうに、ものすごく熱心に話し合っているのを、何度も目にしました。どんな仕上がりになっているのか、実は私も楽しみにしているというのが正直なところです。

――愛蔵版には全冊ご自身で直筆サインを入れると伺っています。大変な作業ではないでしょうか。

阿部:サイン本を作るのは、正直めちゃくちゃ楽しいんです。「書くのは大変じゃないですか」と心配していただいたこともあったのですが、サインは書けば終わりますから……原稿は書いても、書いても終わらないということがありますが、サインは書いた分だけ終わりに近づいていくのが素晴らしい(笑)。

本文内の各巻の扉も名司生さんによるカラーイラストの描き下ろしが入る

――最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。

阿部:こういった愛蔵版が作れたのは、読んでくださる皆さま、応援してくださる皆さまがいてこそです。本当にありがとうございます。これは、応援してくれてありがとうということと、愛蔵版を出せるまでにこの「八咫烏シリーズ」を成長させてくれてありがとうという、ふたつの意味があります。

 現在、シリーズ本編最終巻『玉座の烏』を頑張って書いています。皆さまにとって望ましい形になるかどうかは分かりませんが、少なくとも商品として恥ずかしくないものにするつもりです。私の全力を発揮して形にしたいと思っていますので、どうか今しばしお待ちいただければ幸いです。

阿部さんがサインを入れる表の見返しは和風の里紙を用い「桜」、裏の見返しは「浅黄」とそれぞれ『単』『主』のイメージカラーに合わせた
花布(背の上下)、スピン(しおり)はシリーズカラーの紫に

『八咫烏シリーズ 愛蔵版』は定価8,800円(税込)。紀伊國屋書店グループにて2026年6月30日(火)まで先行予約受付中、8月8日(土)よりお渡し開始予定。今回の購入特典として名司生さんオリジナルイラスト「雪哉と朝顔」のポストカードが付属する。

先行購入特典のポストカード「雪哉と朝顔」

お申込み先:https://store.kinokuniya.co.jp/event/1776669098/

※装画の制作秘話については、装画家・名司生さんへのインタビューもあわせてご覧ください。
※阿部智里さんのメッセージ動画も見られる「八咫烏シリーズ愛蔵版」イベントのアーカイブ動画も公開中です。