インタビューほか

騙(だま)し合いの果て、金塊はどこに

「本の話」編集部

『煙霞』 (黒川博行 著)

──昔の学園ドラマには校長、教頭の悪役コンビが必ずといっていいほど出てきましたが、あながちフィクションではなかったのですね。

黒川  そうです、確かにね。校長、教頭には必ず取り巻き連中がいるんですよ。出世したい連中が集って校長一派を作ります。職員会議なんかではまとまって校長に同調する意見を言ったり。教育委員会の意向通りのことをね。

   例えば、生徒が事件を起こして補導されたりしますね。そうすると先ずひたすらもみ消そうとします。事なかれ主義やから。自分が校長のときにはそういう問題なしに、ともかく平穏に過ごしたいんです。いまこうしたらもっと良くなるということがあっても決してしません。私学はもっとひどいかもしれません。理事長の独裁ですからね。

──教育関係者と言ってしまっていいのかどうか迷いますが、教育ブローカーが出てきます。多くの場合、私学に関わるものだと思いますが、本当に存在するのでしょうか。

黒川  いますね。言い方は違うかもしれないけど、理事長一族に近づいて土地ころがししませんか、こうやると儲かりますよ、っていうのがおる。

──誘拐ということもあって、クルマが沢山出てきます。重要な小道具ですね。

黒川  個人的にもクルマが好きです。持ち主のキャラクターに合わせて選んでます。どんなクルマに乗っているか、どういう使い方をしているか。理事長が乗っていたのは実は違う車だったんですが、本になる前に生産中止になったので急遽(きゅうきょ)、イメージが重なる同じクラスの高級車に変更しました。クルマの他には音楽も考えます。聞く曲でもどんな人物かわかりますからね。

──場所の移動、多彩な登場人物、込み入ったプロットですが、綿密に計算されて書かれたのですか。

黒川  組み立てを考えて書くことはないです。いつも泥縄式ですね。男と女が出てきて誘拐もの、としか考えてなかったです。誰が最終的に黒幕かも書き進めながら決めました。

──コン・ゲームの要素に金塊はどこかという謎が、読者の興味を引っ張ってくれますね。

黒川  書いていくうちに登場人物がどんどん独自の行動を始めます。自分で校正しながらも、いまどこに金塊があるのかわからんようになってました(笑)。

煙霞
黒川 博行・著

定価:1750円(税込)

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