- 2014.06.11
- インタビュー・対談
著者 × 書店員トリオ ネタバレ座談会──千早 茜・内田俊明(八重洲ブックセンター)・新井見枝香(三省堂書店)・川俣めぐみ(紀伊國屋書店)
「本の話」編集部
『男ともだち』 (千早 茜 著)
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
おわらない関係は脅威
内田 いま、『あとかた』、『からまる』、『眠りの庭』と続けざまに読んでいるところなんですけど、千早さんの小説って、あまり恋愛を必要としない登場人物たちが出てきませんか。
千早 性に対してドライかもしれないですね。
内田 神名とハセオもお互いがいればいい、というところもある。
千早 そうか、うん、みんな、恋愛って……あまり(口ごもる)。性欲のはけ口にしかしてないっていうか。
新井・川俣 (爆笑)
内田 すごく神名な発言(笑)。
千早 うん、恋愛としてはあまり甘くない小説ですね。
川俣 「すごく神名」っていえば、私ついヒロインの神名葵に、千早さんを投影して読んじゃいました。
千早 京都在住で29歳、キャリアの岐路にあるイラストレーターの一人称ですし、そう読まれるだろう、という覚悟もありました。今回、《創作》が2つ目のテーマにありますし。でも、あたし神名ほどダメダメな女じゃないですよ、多分。川俣さん、新井さんにはハセオ、いますか。
川俣 え、いないですよ。だから探しにいこうと(笑)。
千早 川俣さんって、男のともだち、多そうなイメージ、もってました。
新井 多そうだけど、相手が友情の一線を越えちゃうとかありそう。
内田 男にとっては、まず彼女にしたくなっちゃうタイプかもね。
川俣 私、学生時代は男ともだちとかいなかったけど、大人になってから、恋愛感情なしでずっとつきあったら楽しいよね、みたいな人はいる。
千早 向こうにあったら、どうするんですか。
内田 そういうパターンだよね、問題は。
川俣 恋愛感情が自分になかったら、まあ、シャットアウトしちゃうかな。それでしばらくたったら、また遊びに行ったりする(笑)。
千早 けっこう、悪女だね(笑)。
新井 うん、悪女だ(笑)。
千早 はっきり答えを言わない女性ってあこがれるなあ。
川俣 あまりはっきりさせると、そのあと友達関係厳しいかな、と思っちゃう。直接いわれたら、私はそういう感じしないかもって言うけど。
千早 神名は、彼女とか奥さんにしたいタイプではないですよね。
内田 ハセオにとっては違う種類の相手、だったんでしょうね。
新井 出会ったのが、大学時代で、再会が30歳前後、ということも影響しているよね。別の年齢のふたりだったらどうなんだろう。
千早 40くらいですっかり落ち着いていて、お互い家庭が厭になったくらいの時期に出会ったら、『失楽園』みたいになったかもしれない(笑)。
川俣 ハセオと神名が、大学卒業からしばらくあいて再会しているのに、昔と同じ距離感で付き合えるのはいい、って思ったなあ。
新井 私、男ともだちがいないわけじゃないけど、でもこの本を読んじゃうと大学時代にこういう友達を作らなかったら、社会人になってから同じくらいの関係を作るのは無理って気もしちゃった。もし恋人が学生時代の友達で神名みたいな子連れてきたら「勝てねえな」って思うかも。昔話とかされた日にはさ、そこまでは巻き戻せないよって。
千早 負けた感、あるかなあ。
新井 好きになった相手に神名みたいな相手がいたら、ほんとに、もう(笑)。いちばん脅威。関係しないってことは終わらないってことだし。
川俣 千早さんにはハセオみたいな男ともだちはいた?
千早 いますね。大学時代の男ともだち多いんです。今はそこまで付き合いが密じゃないけど。結婚もしたし、30すぎてからは向こうも家庭ができたりで。
新井 ハセオも言っているもんね。「結婚するまでな」って。
千早 なにげにあのひとは古風だからね。
新井 夫ができたら、すっと身をひく。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。