- 2014.06.11
- インタビュー・対談
著者 × 書店員トリオ ネタバレ座談会──千早 茜・内田俊明(八重洲ブックセンター)・新井見枝香(三省堂書店)・川俣めぐみ(紀伊國屋書店)
「本の話」編集部
『男ともだち』 (千早 茜 著)
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
恋愛するって残酷なこと
新井 読んでいて気がついたんだけど、本当にずたぼろのときは、神名はだれとも連絡をとらないんですね。
千早 いやだから、だと思う。
新井 女ってそういうとき、女ともだちに電話して頼ったりするんだけど、男って大事なひとには自分の本当に弱い部分は見せないじゃない。
千早 あたしも見せない。
新井 千早さん、そういうとこ、男っぽいかもね。
千早 だって見せたら弱み握られるもん。
川俣 (爆笑)
内田 僕は、仲のいい男のともだちで何でも話せるやつがいるんだけど、彼の前では泣いたことあるね。
千早 それは、なんで?
内田 すごく好きだったやつに振られたときとか。
新井 ウッチー、けっこう女の子だよね。
千早 新井さんは男性的な感じがする。弱みをみせなさそう。
新井 なんかこう、死ぬときとか。
千早 死ぬとき!?
新井 がんの末期っていうときになったら、いちばん仲いいひとにはもう会わないかもね。
千早 あたしも会わないと思う。ひとりで身辺整理をして。
新井 すっとこう、消える。
千早 旅行にでも行って。
新井 うん、うん。
千早 テキーラのみながら死ぬ(笑)。
川俣 かっこいい。
内田 男の場合、ハードディスクのなかのエロ画像を全部削除しないと。
川俣・新井 ああー。
内田 『沖で待つ』ばりに。
千早 あの小説も男ともだちの話ですよね。すごい好き。でも私はあんなふうには書けないです。
内田 絲山さんのふたりには性的な雰囲気はないよね。ハセオと神名ってそうじゃない。添い寝しているところなんかのドキドキは、同性じゃありえないでしょう。
千早 結局なぜセックスしないかって、ハセオも神名も単純に相手が好みじゃないんだよね、たぶん。
新井 でも、どうなんだろうね。実際、ああいう場面で男のひとって一緒に寝ていたりしたら、体の反応があるはずじゃない?
千早 あるだろうと(笑)。
川俣 すごい、具体的。
千早 そこまでは書けなかった……
新井 そっか(笑)。でももし、そういう欲望があるってわかっちゃったら、もう彼のこと、友達とは思えない。やさしくするのは、結局そういうことなんでしょ、って思っちゃう。だからこそ、ハセオって、こんなひとがいたら、ってすごく思っちゃった。正直、好きでたまらないひととはそんなにしたくない。
千早 キスも?
新井 キスはいいの。別にそういうことがいやなわけじゃないし。それはそれでちゃんと別個にあれば。
千早 うーん、すごい共感する。新井さんの中にも神名がいるよね。あたしも好きなひとは、すごい大事にしたい。恋愛するって残酷なことじゃない? だから、好きなひととはなるべくしたくない。できるなら。
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