インタビューほか

原色の楽園ハワイは人類が誇る無形文化財だ

『本の話』編集部

『色で旅するハワイ』 (山下マヌー 文/高砂淳二 写真)

高砂淳一(自然写真家)

山下  特にヨーロッパ人にとっては、ね。コートダジュールなんかに行っても、砂浜なんかないんだから。

高砂  その点、ハワイは何でもありますからね。庶民からセレブまで、誰でも楽しめる。

山下   食べ物だって、和食、中華、韓国、タイ……選(よ)り取り見取(みど)りよ。

高砂  でも、それはオアフ島にかぎった話ですよ。マウイ島なんか、ラーメン屋すらないんだから。

人も島も無形文化財

山下  今回、ハワイにある色には、それぞれ物語があることがよくわかった。たとえば、ハワイアンが肌に入れている青い入れ墨にしても、模様ひとつひとつに意味がある。

高砂   ハワイの場合、本当に大切な色だけが残っている気がしますね。ハワイってもともと海底火山が爆発してできて、最初は溶岩の、色のない真っ黒な世界だったわけでしょ。

山下  その通り。なぜ、ハワイ島に黒い海岸があるのか?  それは、この島がまだできたばかりだから。ハワイ諸島は海底火山の噴火で、北から順番に島ができた。それが年月がたつと……。

高砂  木の芽が生え、緑が増える。海には珊瑚が生まれ、それが死んで堆積することで、白い砂ができる。

山下  いちばん古いカウアイ島は島全体が原生林に覆われているけど、そこまでにおよそ五〇〇万年かかっている。いわば七〇〇kmの間に、五〇〇万年の歴史が凝縮しているわけ。こんなすごい場所はほかにはない。地球の進化をわずか数日で、順番に全部見ることができるんだから。

高砂   この本は、表紙がカウアイ島のワイメア渓谷で、最後の方にハワイ島の溶岩があるから、五〇〇万年が一冊に凝縮されているともいえるわけです。

山下  この商売上手!  まあ、我々の進化論が正確かどうかは別にして(笑)、そういった自然のすべてを体感できるのがハワイの素晴らしいところだね。リスペクト、ハワイ!見せてくれてありがとうって、そんな気分を抱きつつ行きたいもんです。買い物だけじゃないぞっと。

高砂  考えてみると、ハワイで暮らしている人はポリネシア人をはじめ、みんな海を越えてやってきた人ばかりなんですね。

山下  人だけじゃない。鳥にしろ動物にしろ、動くものはみんなそうだよ。みんながこの島にやってきて、お邪魔しながら、いい具合に遠慮しあって生きている。だから優しいし、オレがオレが、じゃないんだよね。

高砂   ハワイには世界遺産はボルケーノ公園一つしかないけれど、島のあり方自体が世界遺産ですよね。

山下  そう。人も島も、すべてが無形文化財なんですよ。

色で旅するハワイ
山下 マヌー・文 , 高砂 淳二・写真

定価:1890円(税込) 発売日:2009年06月11日

詳しい内容はこちら