- 2016.08.17
- インタビュー・対談
世界中の時事とエンタメが繋がる驚き――南キャン・山里亮太さんが語る「町山智浩論」
「本の話」編集部
『「言霊USA」特別LIVE アメリカ大統領選2016』(町山智浩 著)
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#随筆・エッセイ
映画評論家でアメリカ情勢にも詳しい町山智浩さんが、アメリカ大統領選のポイントを解説した電子書籍『「言霊USA」特別LIVE アメリカ大統領選2016』。発売を記念して、TBSラジオ「たまむすび」で町山さんと共演している南海キャンディーズ・山里亮太さんに、町山さんの魅力について伺いました。
――「たまむすび」では、山里さんは火曜日パートナーとして出演されていますね。
はい。もう4年以上になります。火曜日の「たまむすび」には、町山さんの「アメリカ流れ者」というコーナーがあるんです。町山さんにはその中で、最新の映画評論や、その時々の時事ネタを喋ってもらっています。
――山里さんは、町山さんの映画評論を聞いて、その後実際に映画を観にいかれることがよくあるとお聞きしました。
ほとんどそうですね。僕は元々映画を観る習慣がなかったんですが、町山さんが紹介してくれる映画って、すぐに観に行きたくなるんですよ。町山さんはとてもピュアで自分の信念に忠実なので、「この映画はこういうところが凄いんだ!」という気持ちを全力で伝えてくれる。だから、ものすごい人の心に刺さるんですよね。それはラジオでも文字でも同じだと思いますが。
最近だとディズニーアニメの『ズートピア』を観にいきました。色々な動物たちが暮らす街が舞台で、新米警官であるウサギの女の子と詐欺師のキツネが出会って、お互いに成長していく話です。『ズートピア』では、今までだったら普通に流しているシーンが、町山さんの話を聞いてから観ると、何十倍も引っかかるようになったというか。警察署の受付のチーターが、主人公のウサギに「かわいいねえ」と喋りかけると、ウサギが「ウサギがウサギに『かわいいね』と言うのはいいけど、あなたから言われるのはちょっと……」と答えるシーンがあるんです。町山さんの話を聞いていなかったら、生意気なウサギの演出かな、と流すところなんですが、実はこのやりとりには人種差別の話が隠れていて。同じ人種の人たちの間では使ってもいいけど、他の人種の人が使ってはいけない言葉があるんですよね。アメリカの抱えている問題がズートピアに凝縮されていると分かると、見方がまた変わって本当に楽しい。
町山さんの喋りが上手すぎて、本編を超えてしまうという事件も起きるんですよ。町山さんの話を聞いて、「めちゃくちゃ面白いじゃん!」と思って、公開を待って待って待って、いざ映画館で観たら、「町山さんの話のほうが面白いな」という(笑)。
あと、よく覚えているのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。過激なカーチェイスシーン満載のアクション映画で、日本でもヒットしましたよね。『マッドマックス』を観た後、僕、「ただただ狂ったバトルが続く!何も考えないで観れた!」とTwitterで浅い感想を言っちゃったんです。そうしたら、熱狂的な『マッドマックス』ファンたちから、「『マッドマックス』は女性が自由を勝ち取る映画なのに、何もメッセージがないように言うのはサイテーだ」とめっちゃ叩かれて。
僕はよく炎上してしまうので、「またネットが燃えてんな」と放置していたんですよ。そうしたら、いきなり果敢に戦い出す人がでてきて、誰かと思ったら町山さんだった(笑)。町山さんはTwitterで、「山ちゃんは映画をこう捉えていて、こういう意味で感想を述べている。女性蔑視の意図があるわけではない」と、僕の代わりに反撃してくれて。気づいたら、町山さんが誰よりもキレていました(笑)。
「言霊USA」特別LIVE アメリカ大統領選2016
発売日:2016年08月03日