- 2019.04.15
- コラム・エッセイ
雇用機会均等法から約30年 働く女性は、しあわせになったか
上野 千鶴子 (東京大学名誉教授)
『女たちのサバイバル作戦』 (上野千鶴子 著)
出典 : #本の話
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
その30年間はわたしが働いて生きてきた30年間と、ほぼ重なります。本書はただの評論でもなければ、研究書でもありません。そのときどきに、わたしが怒ったり、笑ったり、してやられたと悔しがったりした同時代の記録でもあります。その歴史の生き証人としての観察や経験に加えて、データをもとに、世界史的な流れのなかに日本を位置づけ、その時代の波に翻弄されながら、日本の女性がどう変わってきたかを、論じました。
この30年をひとことでいえば、「ネオリベ改革の時代」と言ってよいでしょう。ネオリベことネオリベラリズム、新自由主義と訳されます。市場原理主義と訳されることもあります。市場による公正な競争を通じて、優勝劣敗が決まり勝者は報酬を受け敗者は退場していくのが、競争のルールです。
ネオリベ改革が労働市場にもたらしたのは「労働のビッグバン」こと非正規雇用の規制緩和でした。その結果起きた「雇用崩壊」から「格差」が拡大したと言われますが、「格差」はそれ以前から女性の問題でした。現在、非正規雇用者の7割は女性、女性労働者の6割が非正規雇用者、新卒採用の女性の5割以上を非正規が占めます。女性の選択肢は多様化したと言われますが、それはほんとうに自由な「選択」だったでしょうか?
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