- 2013.11.22
- 書評
『アンダー・ザ・ドーム』解説
文:吉野 仁 (文芸評論家)
『アンダー・ザ・ドーム』 (スティーヴン・キング 著 白石朗 訳)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
最後にいくつか気になった固有名詞について解説しておきたい。
まずは、冒頭にも歌詞が掲載されており、作中でも、まるでチェスターズミルという小さな町(スモールタウン)のテーマソングのように登場する歌がある。〈トーキン・アト・ザ・テキサコ〉だ。歌っているのは、ジェイムズ・マクマートリー。一九八九年のアルバム〈トゥー・ロング・イン・ザ・ウェイストランド〉の最後に収録されている。
このCDが手に入らずとも、いまはご存知 YouTubeという便利なサイトがある。James McMurtry Talkin' at the TexacoもしくはSmall Townと入力すれば、このフォークロック調の曲を知ることができるだろう。興味のある方はぜひ聴いてほしい。
ちなみに、マクマートリーのアルバムのプロデューサーは、ジョン・メレンキャンプ。二〇〇七年に、キングが脚本、メレンキャンプが作詞・作曲を手掛けたゴシック・ミュージカル Ghost Brothers of Darkland Countyを共同制作している。本作中のある場面にも、ジョン・メレンキャンプ(ジョン・クーガー名義)のアルバム第五作の題名がさりげなく引用されていた。
また、さきのマクマートリーの歌詞の一文が使われている章「おれたちみんなでチームを支えてる」の第5章に、ドディー・サンダーズが電話中「ブラッツいじめ」をしようと話す場面がある。このブラッツ人形は日本でも売りだされていたのだが、ご存知のない方は、Bratz Dolls でネット画像検索をかけてみてほしい。いわば現代的でクールなバービー人形だ(ここでもバービーはいじめられる境遇にある)。
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