自己資金を出版や広告には使えないことになりましたので、次に僕が考えたのは、できた本千冊を僕が買い上げ、方々へ配って回ろう、という広報活動です。目的は、より多くの人に知ってもらうことです。ちなみに、これまで、自分の本を自分で買ったことは一度もありません。
印税をゼロにすることは認めてもらえました。これによって、本の値段は四割も安くなりました。願ってもないことです。常々、日本の書籍は安すぎると方々で書いてきましたが、今回だけは特別です。なにしろ、もともとは無料にしたかったのですから。
印税がゼロのうえ千冊の本を購入するのですから、当然ながら、僕としては赤字です。しかし、当初は、多額の宣伝費を支出するつもりでいましたので、それに比べたら、何分の一という安さです。文藝春秋の担当I井氏には、当初から無理、我が儘を言ってきましたので、このあたりが妥協点かという感じで、今は納得しています。
買い上げた千冊は、各方面で活躍している著名人に送ろうと思います。そうすれば、そのうちのほんの一部でも、もしかしたら他の人にこの本の噂をしてくれるかもしれません。少しでも、多くの方が目にとめてくれれば良いな、と思いますし、すべてはそのために実施したことです。
ところが、僕はテレビも見ないし、新聞も読まない人間ですので、現在の日本で、どんな方が著名人(特に、影響力のある人)なのかあまり詳しく知りません。一所懸命考えましたが、名前を思いつく人はせいぜい五十人程度でした。そこで、読者の方々に、インターネットで「この絵本を誰に送りたいか」という募集をすることに決めたのです。
この絵本を誰に送りたいか、そして、その理由を、メールで受け付ける予定です。そして、その中から僕が選んで、どんどん本を送ろう、というプロジェクトです。インターネットの僕のHPで、希望があった送り先を公表し、そのうち、どこへ実際に送ったかを、可能なかぎりリアルタイムで報告するつもりです。どうか、皆さんのご協力をお願いいたします。
また、送り先の住所を調べたり、実際の発送作業は、文藝春秋の方の手を煩わせることになります。たぶん、出版社としては元は取れるとは思いますけれど、考えてみたら余分な仕事です。この点では深く感謝をしています。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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