
- 2016.02.03
- インタビュー・対談
働く女子は活躍できるのか? 濱口桂一郎×上野千鶴子、"組織の論理"と"女性の論理"が大激論!(後編)
「本の話」編集部
『働く女子の運命』 (濱口桂一郎 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
スカートをはいたオッサン

上野 最近の女子学生は実学・資格志向になっています。でも結局、日本はメリトクラシー(能力主義)社会ではない。そこにもギャップが生れています。
濱口 むしろ企業は学生に何でも書き込める“真っ白なキャンバス"を求めています。そして明確な評価軸はないまま、職場のみんなが「あいつはデキる!」と判を押した人間が出世するというシステムです。
上野 やっぱり。ジェンダー研究の用語で言うと「ホモソーシャル(男性同士の絆)」な集団ですね。これでは女性は入っていけない。
濱口 “スカートをはいたオッサン"だったら来いよ、ということですね。女性が同じ行動様式をしてくれるならウェルカムで、表向きは男女平等になっているんです。ただし、それが「無限定モデル」、つまり仕事も、転勤も、労働時間も“無限定"、つまり会社の言うなりに働かなくてはならないシステムをベースとしているので、女性たちはドロップアウトしていってしまう。
総合職はいまだに男性優位のシステムです。無制限に使えるから、企業は使いやすい。その構造を変えるというのは、企業にとってものすごく不便になります。なのでそこには手をつけないで、一般職をバラして非正規化するのがよかったわけです。
新卒で男をみんな正社員で入れるのをやめるとともに、無限定雇用に女も入れることになっただけで、女性の立場は副次的に変化するんです。
上野 男並みにがんばれるのはレアな女だけです。育休世代以降、無限定的な働き方が女性の活躍を阻んでいる。さらに問題なのは、女の中で分断が起きていることだと思います。すでに女性労働者の6割が非正規です。しかし、世間の関心が向いているのは、管理職になった女性や成功した起業家のようなごく一部の女ばかり。"スカートをはいたオッサン"はレアだけど人口の数パーセントはいるでしょう。「202030」でいう30%は無理ですけれどね。そのレアな女たちに「私にはできたのに、どうしてあなたたちにはできないの?」といわれちゃ、普通の女性はたまりません。
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