書店の謎

なぜ値引きがない? 売れ残った本は?
出版流通の仕組みについてお答えします

文: 「本の話」編集部

知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、出版流通の仕組みに関連する質問に答えてもらいました。

取り寄せの出来ない新刊がある?

 続いて、取り寄せについての質問をいくつかいただいているので、まとめて御回答します。

同じ県の外出先で見かけた発売したばっかりの本を家の近所で買えばいいと思って帰りに家の近所の本屋へ寄ったら置いていなくて店員さんに聞くとうちでは取り扱ってませんと断られたので、取り寄せもできないのでしょうか? と聞くとできませんと言われたのですがなぜですか? 本屋によって取り寄せもできない新刊本(または雑誌)なんてあるのでしょうか?(神奈川県 30代 男)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 最近は書籍も雑誌も刷り部数が少なくなり、大き目の書店でも入荷数が極めて少なくなっています。発売日の時点で問屋や発行元にも在庫がないことがあり、そうした場合はお取りよせもお断りせざるをえません(我々のようにチェーン展開の書店は他の支店在庫を確認しますが)。ぜひ見かけたときにお買い求め、もしくはお取りおきを。


 ISBNやISSNが付されているものの出版取次が扱っていない本や雑誌というのがあると思うのですが、客はそれを書店に注文することができるのでしょうか? (広島県 30代 男性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 基本的には直販の取り扱いはお断りする場合が多いですが、地元色が強かったり大きな部数が期待できる商品は、個別に仕入れ交渉をし取り扱うこともありますが例外的です。

 

取り寄せの場合、入手までに時間がかかるのは何故ですか? (広島県 10代 男性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 ひとり出版社から総合版元までメーカーの数が膨大で、物流が複雑になっているからでしょう。倉庫活用で改善はされていますが、しかし他業種よりも遅れが顕著かもしれません。

 お店の店頭で変色してしまった本の行方は……

 店頭に在庫があれば、オンライン書店よりも早く読みたい本を入手できるのが、身近な本屋さんのいいところ。取り寄せについても、読者の不満を解消できる日が来て欲しいですね。委託販売の話題が出たので、次の質問にもお答えいただきましょう。 

お家に置いてある本は時がたつとともに本自体が変色してしまいますが、本屋さんに置いてある本は変色していないように思うのですが、全ての本が売れて常に新しい書籍が入荷されていることもないと思うので、どのように管理されているのですか?  (広島県 30代 女性)

山本善之(くまざわ書店大手町店)

 本の変色は光による日焼けと湿気によるカビが原因かと思います。本屋でもその2つからは逃れられず、照明に近い棚などは日焼けしてしまっていたりします。新刊コーナーは商品が常に入れ替わるため変色しない本を置くことができますが、店の奥品揃えの本は変色を回避するのが難しく、定期的にチェックすることで綺麗な商品の品揃えを維持しています。欠本チェックと呼んでいる、巻数抜け・売れ筋の商品にリストを見ながら棚を入れ替える作業があるのですが、その際に変色している本や破れているものも新しい商品に入れ替えております。書店員としては、変色するほど店に長く買われずに置いている本はそもそも品揃えとして不要との判断もあります。ご自宅では本はなるべく暗所で、乾燥した場所に保管して頂ければと思います。その際には書店のカバーをつけて置いて頂ければ、表紙や帯の変色を防げるはずです。ご活用ください。

 

どうして本屋さんのお店の中はちょっと暗くなって居るの? (東京都 20代 女性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 書店員は明るい場所が苦手であることと、明るいとゴミやほこりが目立ってしまうから、というのは冗談で、本は照明に弱くてすぐ焼けてしまうからです。第一印象が肝心。すこしでもきれいな本と出会ってもらいたいです。

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 お店によって違います。あまり明るすぎると、落ち着かなくなります。逆に暗すぎると目が悪くなります。居心地の良い空間を考えた結果、「少し暗め」になっているのです。喫茶店もそうですよね。

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