「命を賭けて、他人のしないことをする人間は全人口の〇・三パーセントしかいない。つまり、神が創造した突然変異。そのほかの人々は、安全で快適な生活を望む。でも、現在の快適な暮らしというのは、限界を超えて作業をしてきた人たちが、作り上げたものなんですよ」
実際、医療の分野では、華岡青洲は妻を実験台に麻酔を用いた手術に挑み、エドワード・ジェンナーらは、親しい人間を実験台にして、天然痘ワクチンを開発しました。つまりそれが、人間の特性なのだと聞いて、少し気が楽になりました。
最後に紹介したいのが『山の思想史』という本です。著者は高峰への挑戦は、デーモニッシュ(悪魔的)な活動である、と指摘しています。西洋では「悪魔のように速い」という表現があるように、人間の英知を超えた計り知れない力を「悪魔」という言葉で表現しています。この悪魔の力を得た歴史上の人物として、ヒットラーや、ナポレオンらが挙げられています。悪魔に魅入られて、その指につまみあげられた人が、自分の能力以上のものを発揮し、歴史を動かした。ただ、悪魔は気まぐれで、急に手を離すこともある。悪魔をコントロールできなかった人間は、非業の死を遂げると。
モンベルも創業以来、順調に来ましたが、私はこう考えるようにしているんです。目に見えない力に助けられながら、ビジネスを成功させてきたが、いつ落とされてもいいように自らをコントロールしないといけないと(笑)。山男というのは怖がりなんですよ。日帰りの登山でもリュックサックの中には必ずヘッドランプを入れるし、天気の良い日でも雨具を準備しますからね。
お勧めの4冊
・『新編・白い蜘蛛』 (ハインリッヒ・ハラー 著) 山と溪谷社
・『エヴェレスト 神々の山嶺』 (夢枕獏 著) 角川文庫
・『坂の上の雲』(全八巻) (司馬遼太郎 著) 文春文庫
・『山の思想史』 (三田博雄 著) 岩波新書
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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