- 2015.01.11
- インタビュー・対談
「自分の身に波乱万丈が起こって1回きりの人生ならば、何をやってもいいんじゃないかって」
「本の話」編集部
『起き姫 口入れ屋のおんな』 (杉本章子 著)
ジャンル :
#歴史・時代小説
杉本章子さんにとって約3年ぶりの新刊となる『起き姫 口入れ屋の女』は、奉公人を商家へと斡旋する稼業=口入れ屋「三春屋」を舞台にした連作集。夫の浮気で裕福な商家と離縁し、三春屋の主となったおこうをはじめ、それぞれに事情を抱えた人物たちの人生模様が描かれる。実はこの1冊を書きあげるまでには、著者の杉本さんご自身の身辺にも思いがけぬ出来事が次々と起こり……。
――小説の舞台となった「三春屋」のアイデアはどこから浮かんだのでしょうか。
口入れ屋という稼業は江戸ものの中にはよく出てくる言葉ですが、その職業自体がメインになった小説というのはこれまであまりなかったと思います。一般的に商家へ女中奉公を斡旋したりするだけでなく、時には妾斡旋専門ということもあったという話を担当編集者としていたら、それにえらく反応されまして(笑)。妾だけで色々バージョンを変えて連作を書くのは厳しいとも思ったんですが、色んな女の人が出てくることだろうし、何とか書けるだろうと考えてはじめました。
けれど、そこに大きな計算違いがあって……こんなに書く段取りが狂った小説は、今までほかにありません。でもそれはそれで小説が所期目標を修正したがっているからであって、たとえ失敗してもそれに従うべきなんじゃないか。最初の構想からはまったく別のものになりましたが、その結果、口入れ屋がA→B→Cと都合よく場面の変る回転舞台ではなく、口入れ屋を訪れる人たちの人生を描く物語になったような気がします。
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