- 2016.11.22
- インタビュー・対談
最近話題のプロトコールとマナー、どこが違うのか
「本の話」編集部
『世界に通用する公式マナー プロトコールとは何か』 (寺西千代子 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
フィリピンのドゥテルテ大統領訪日のニュースでは、さかんに「プロトコール違反」という言葉を使っていたけれど、プロトコールとは一体何? 東京五輪を控え、日本人も知っておきたい公式マナーについて、元外務省儀典官室の寺西千代子さんに聞きました。
――最近、「プロトコール」という言葉をよく耳にします。どういう意味なのでしょうか?
寺西 人と人とのお付き合いでエチケットやマナーを意識するように、国と国との付き合いでもマナーが必要です。そのような国家間で守るべきマナーのことを「プロトコール」と呼んでいます。日本語では通常「国際儀礼」と訳しています。
――寺西さんは外務省儀典官室で10年あまり勤務されていたそうですが、儀典官室というのはどういう仕事をするところですか?
寺西 外国からの要人や日本に駐在している外交団のお世話を中心に、外交上の儀礼を担当する部署です。英語では「プロトコール・オフィス」と呼んでいます。
私が担当した仕事の中心は、日本に来られる国賓、公賓の方々の接待を準備することでした。
――ダイアナ妃や大統領夫人時代のヒラリー・クリントン、カーター、レーガンといった歴代の米国大統領、英国のサッチャー首相や中国の胡耀邦総書記など、世界のセレブたちのおもてなしを手伝われたのですね。
寺西 中でも鮮明な思い出の一つは、ダイアナ妃です。宮中晩餐会にティアラを着けて出席されるかどうかが最後までわかりませんでした。プロトコールというのは相互主義なので、ゲストがティアラを着けるのであれば、他の方たちも合わせることが望ましい。宿泊されていた赤坂・迎賓館の玄関にティアラを着けてお出ましになられた姿を目撃し、すぐに宮内庁に通報しました。
――当時(1986年)はダイアナ・フィーバーと騒がれましたね。
寺西 私の印象に残っているダイアナさんは、はにかみやの少女のような方でした。チャールズ皇太子が迎賓館のお庭で独りスケッチをされている間、ダイアナ妃が側近と二人だけで館内に持ち込まれた見本からお土産品を選んでいた、あどけない姿を思い出します。
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