二十六歳で起業し、女性向けマーケティングなどを手掛けた「カリスマ女性起業家」は二〇一四年十月、「カラーズ」を立ち上げた。新たな事業は、一時間千円からベビーシッターを即日予約できるサービス「キッズライン」。女性が働きやすい社会の実現のために奔走する若き経営者の信念に迫る。
昔から本を読むのが好きでした。高校時代には『氷点』を読んで、三浦綾子さんの著作を読破しました。経営者になって、読書量が圧倒的に増えましたね。理由は、上司がいなくなったからです。困難に直面したときには私はまず書店に足を運ぶんです。本の中に、求めていた答えが見つかることも多かったですから。
起業してしばらくした頃に手に取ったのが、宅急便で知られるヤマト運輸・元会長小倉昌男さんの自伝ともいえる『小倉昌男 経営学』です。
私の夢は、“起業家であれば、世の中の大きな問題を解決するような、社会インフラのようなサービスを提案したい”というものでした。
小倉氏は、「儲からない」とされた個人宅配事業を郵政省と戦って実現された。今、宅急便がない生活なんて、想像できますか? アメリカやイギリス在住の方で「Amazonは良いと思っていたけれど、日本に来て、ここまで便利だとは驚いた」という声をよく聞きますが、それはヤマト運輸の宅急便のサービスが素晴らしいからだと思います。
私が経営者として選んだテーマは「女性が輝く社会の実現」です。男性はサポートしてくれるシステムが整っていますが、育児をしながら働く女性には、保育園以外のネットワークがありません。働くママとベビーシッターのマッチングのサービスをスタートさせました。現在は赤字ですが、シッターを利用しながら、子供を育てることが文化になれば黒字になると思うんです。
「母親が愛情を注がないとダメな子が育つ、だからシッターを利用するなんてダメだ」という論調も耳にしますが、今、シッターのクオリティはすごく上がっています。預けるのが安心というレベルではなく、教育者としてのシッターも育てていきたいと思っています。
ゼロ歳児のときは保育士さんが適任でも、小学生になったら、大学生のベビーシッターと出会うことで“こんな大人になりたい”という未来へのインスピレーションがわくというメリットもあります。子育てをしながら働いた経験者としても、育児において、親以外にも役割分担をお願いしてもいいと考えていますが、それが根付くまでの道のりは険しい。そんなとき、小倉さんの本を読み返して勇気をもらっています。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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