![働く女性に勇気を与えてくれる本](https://b-bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/6/6/1500wm/img_66630657ece4320d4c652e459efb83ff40220.jpg)
最近、感銘を受けたのが、『小説 土佐堀川――女性実業家・広岡浅子の生涯』です。NHKの朝ドラ「あさが来た」の原案となっている本ですが、ドラマがスタートする前に、“これを読んで、女性起業家の視点からの意見を聞きたい”というオファーがあったんです。この一代記を読んでみたら、今でこそ女性が働くことは珍しくないですが、幕末から大正にかけて、ここまで時代を切り拓いた女性がいたのかと、驚きました。
十七歳で大坂の両替商・加島屋に嫁いだ広岡さんは、明治維新の影響で両替商の倒産が続く中、加島銀行を設立します。また自らが暴漢に刺されたり、乳がんを患ったことで、命の貴さを理解し、生命保険事業を始めます。それだけではなく、女性の社会進出のために、日本女子大学の創設にも関わるなど、経営者としてのパワーを感じるんです。
会社を経営していると、毎日が選択、決断の連続です。この主人公は、判断の指針がシンプルで力強い。私が迷った時に、広岡さんの思考を参考にしています。
三冊目は、『アリーテ姫の冒険』です。一般的な童話は、不幸な境遇におちいった主人公が忍耐を重ね、そうすれば幸せというリターンを得られるというストーリー。ヒロインが登場する『シンデレラ』などは、美しい女性の前に王子様が登場して幸せになる、というもの。この童話は違います。魔法使いにとらわれたアリーテ姫はピンチの場面でもポジティブに捉えて、自分の想像力で幸せになる! という物語なんです。私の娘も、この本を読んで、「賢い女の子」になりたいと思ってくれたようです。自分の娘には“可愛さ”や“良い子である”ことを求めるより、生き抜く“賢さ”を優先させて欲しいと考えています。
女性が働きやすい社会を! なんてロマンを持ちながら働いていますが、実際は日々、数字とにらめっこで、心がカラカラになることも(笑)。だからこそ、本を読むことで、人情の機微を学んでいます。人はみんな、強いわけではなくて、誰しもが悩みや悲しみを抱えて生きている。ままならない状態に陥った時の心情が分からないと、人がついて来てくれるリーダーにはなれませんから。
お勧めの3冊
・『小倉昌男 経営学』 (小倉昌男 著) 日経BP社
・『小説 土佐堀川――女性実業家・広岡浅子の生涯』(古川智映子 著) 潮出版社
・『アリーテ姫の冒険 上・下』 (ダイアナ・コールス 著) 学陽書房