
――ところで横尾さんは、一九六〇年に日本デザインセンターに入社された年から二〇〇〇年まで十年に一回、計五回も交通事故に遭われています。これは偶然なのか、必然なのか。非常に不思議な体験ですね。
横尾 これは自分でもどう解釈していいのか、全くわからないんですよ。おおよそでなくきっちり十年に一回なんですね。一九六〇年、七〇年、八〇年、九〇年、そして二〇〇〇年。運命の仕業という神秘的なものなのか、あるいはもうすぐ来るぞ来るぞというように、自分の潜在意識の中に刷り込まれたものなのか。ただ、不思議なのは、事故に遭う頻度は変わらないんだけど、程度はだんだん軽くなっているんですよ。
――とすれば、四年後の二〇一〇年は……。
横尾 この本を出すことによって、十年の法則に終止符が打たれることを祈りたいですね(笑)。
――最近は、帯状疱疹や顔面神経麻痺など、原因が特定しづらい病気に見舞われました。現代の病気のほとんどはストレスが原因だとも言われますが、「ストレス」についてはどのようにお考えですか。
横尾 ぼくは長い間、ストレスがない人間だと思っていたんです。でも、これだけストレスが問題だと一般的に言われるようになると、今度は自分でストレスを探し始めてしまう。今までストレスだとも考えていなかったことが顕在化してくるわけです。言葉が人格化して、一人歩きし始めることによって、われわれもそれに踊らされ悩まされてしまう。
でも考えてみると、この世は矛盾だらけなわけだから、そういうややこしいものに自己を同一化せずに切り離してしまえばストレスからも解放されると思うんです。とは言っても、実際は悟りを極めたお坊さんでもなければ、なかなかできることではないのですが。
――エッセイを読んでいると、病歴も多彩ですが、お医者さんとの付き合い方も非常にユニークだと感じます。
横尾 医者の存在は単体で評価できるものではなく、自分との関係によって信頼が深まったり、評価が高くなったりすると思うんです。つまり、そのお医者さんのことをできるだけ知ることによって、自分の病気を知ることにつながると考えています。
例えばアートの話をしていたとしても、ぼくの場合は単なる世間話ではなくて、そのお医者さんの表情やものの考え方を通して自分の体のことも考えているんですよ。病状以外のことを話しているときでも、ぼくにとっては診断をしてもらっているという意識があるんです。
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