- 2015.01.30
- インタビュー・対談
『なまけものダイエット』の、実はなまけていない時もあったダイエットの裏話。
「本の話」編集部
『なまけものダイエット 楽して痩せたい甘口篇』『なまけものダイエット とにかく痩せたい辛口篇』 (伊藤理佐 著)
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#随筆・エッセイ
――『辛口篇』では「もう二度とやりたくないハードなダイエット」として、カロリー計算ダイエットのことを描いていました。
伊藤 26~28歳くらいの時期は、カロリー計算とウォーキングの合わせ技をメインに、ジムにも通ってたし、ダンベル運動もやってたし、とにかくいろんなダイエットをやってました。カロリー計算ダイエットには本当にハマってしまって、80キロカロリー表を持ち歩き、食べるものをカロリーで選ぶ生活。栄養バランスが悪いから、お肌も荒れていました。体重計とカロリーの数字に支配されてる毎日なんだけど、がんばれば体重はちゃんと落ちるし、今日も食欲をカロリー内に収められたっていう「家計簿のやりくり」的な感覚があるんですよ。今日も予算内でクリア!みたいな。そうなると、数字にがんじがらめになってしまい、「痩せるために生きている」みたいな感じに(笑)。
――「痩せるために生きている」って、重い言葉ですねえ……。
伊藤 でも、その時はダイエットに夢中だから、思うように数字が減っていくうちは、ホントにすごく楽しいんです。わたしは結構ハマり体質なんで、もし節約生活にハマったらビニール袋干しちゃうようなタイプだし(笑)。当時は恋愛時期でどうしても痩せたくて、かなり頑張って44キロまで落としました。見た目も痩せて、ジーパンのサイズも変わって、それまではいたこともなかったピッタリしたパンツをはきました。でも、普通にご飯を食べるようになったら、乾いたスポンジが水を吸うように太りだして……まさにリバウンドの典型ですね。
――ダイエットをしていると「痩せたらなんとかなる」という願いというか、祈りのようなものが生まれますよね。『辛口篇』でも描かれていましたが、それがグラグラしてきたのは、いつ頃ですか?
伊藤 40代になり、子どもを産んで生活も変わって、とにかく身体が年をとってきてからですね。20歳、30歳の時に感じた「10年、年とった」より、遥かに幅の広い何かがやってきた四十路。腰を悪くしている母親にも言われたけど、身体に負担のかかる無茶なダイエットをしている場合じゃないボディになっちゃった。もちろん、キレイにはなりたいんですよ。でも痩せる=キレイではないことも分かっちゃった。太っている=キレイでもないけど。わたしも、ちょうどいい塩梅、いい感じを探しているところです。
――最後に、ダイエット中の読者さんへメッセージを。
伊藤 体操の中村格子先生も言ってたけど、日本人って思った以上に小さくて痩せてるんですって。白人と違って超肥満もあんまりいないし、痩せなくていい人もたくさんいるそう。わたしも自分が痩せようとしていた時は、毎日ピリピリ数字ばかり気にして、みんなとご飯も食べられないようなヤツでした。7号とか9号とか、42キロになれなかったらもうダメだ、って思ってた。でも、7号とか数字だけにこだわるのって、今となっては若い証拠だなって思う。「25歳過ぎると年寄り」って若い頃に思うのと一緒かも。ダイエット中だと、つい7号、9号、42キロなんて、数字でピンポイントに自分を追いつめてしまうけど、四十路になってみて、自分を遠くから見てみることも大事だなあって思いました。『なまけものダイエット』を読んで、揺れる腹と同じくらい揺れ動く、残り少ないオンナ心が少しでも参考になるといいなと思います。最終的にダイエットどころじゃなくなってるけど(笑)。