- 2015.12.20
- インタビュー・対談
“クールジャパン”として世界に受け入れられたニッポンのAV。モザイクの向こうに日本の“今”が見えてくる!
「本の話」編集部
『ニッポンAV最尖端 欲望が生むクールジャパン』 (藤木TDC 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
裁判傍聴から見えてきた
「なぜモザイクはなくならないのか」
――文庫書下ろしの最終章では、モザイクがあるにもかかわらず裁かれた「ビデ倫裁判」を扱ってます。
藤木 インターネットで海外の無修整の動画が見られる時代に、なぜ「消しが薄い」という理由で日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)が裁かれるのか、という疑問があり、傍聴を重ねました。裁判では業界の内情について驚くような証言も飛び出し興味深かったのですが、結論としては「わいせつとは、裁判所がわいせつと判断したものであり、警察がわいせつと判断したものである」という感想が残りました。審査団体を維持するために、モザイクがあるようにも感じました。その辺の香りを行間に嗅ぎ取ってください。
――これからのAV界はどうなっていくとお考えですか。
藤木 僕が書いていた「ビデオ・ザ・ワールド」をはじめ、AV専門誌はここ3、4年でほとんど休刊し、流通の仕方もパッケージされたDVDからインターネット動画配信が中心になっていますが、たとえばヘンリー塚本氏率いるFAプロは元気ですね。
FAプロは「昭和」シリーズや「中高年夫婦のための健康AV」など、昔のピンク映画風の泥臭いドラマ仕立ての作風が得意で、これが、中高年に大人気なんですね。「死ぬまでセックス」ブームとマッチしているのか。その手の週刊誌に広告を出すと、直販の申し込みが現金書留でたくさん来るそうです。
中高年の人にとって、サプリの「マカ」みたいに、AVが「健康商品」となっていく方向はアリですね。AVを見て、「若返った。活力が出た」と。業界は若者の「AV離れ」に危機感を持っていますが、逆にFAプロのような泥臭い映像が新鮮で、AVに目覚めたという20代もいるんですね。そういう中から新しいAVの担い手が出ることを期待したいです。
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