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“クールジャパン”として世界に受け入れられたニッポンのAV。モザイクの向こうに日本の“今”が見えてくる!

“クールジャパン”として世界に受け入れられたニッポンのAV。モザイクの向こうに日本の“今”が見えてくる!

「本の話」編集部

『ニッポンAV最尖端 欲望が生むクールジャパン』 (藤木TDC 著)


ジャンル : #ノンフィクション

裁判傍聴から見えてきた
「なぜモザイクはなくならないのか」

――文庫書下ろしの最終章では、モザイクがあるにもかかわらず裁かれた「ビデ倫裁判」を扱ってます。

藤木 インターネットで海外の無修整の動画が見られる時代に、なぜ「消しが薄い」という理由で日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)が裁かれるのか、という疑問があり、傍聴を重ねました。裁判では業界の内情について驚くような証言も飛び出し興味深かったのですが、結論としては「わいせつとは、裁判所がわいせつと判断したものであり、警察がわいせつと判断したものである」という感想が残りました。審査団体を維持するために、モザイクがあるようにも感じました。その辺の香りを行間に嗅ぎ取ってください。

――これからのAV界はどうなっていくとお考えですか。

藤木TDCさん

藤木 僕が書いていた「ビデオ・ザ・ワールド」をはじめ、AV専門誌はここ3、4年でほとんど休刊し、流通の仕方もパッケージされたDVDからインターネット動画配信が中心になっていますが、たとえばヘンリー塚本氏率いるFAプロは元気ですね。

 FAプロは「昭和」シリーズや「中高年夫婦のための健康AV」など、昔のピンク映画風の泥臭いドラマ仕立ての作風が得意で、これが、中高年に大人気なんですね。「死ぬまでセックス」ブームとマッチしているのか。その手の週刊誌に広告を出すと、直販の申し込みが現金書留でたくさん来るそうです。

 中高年の人にとって、サプリの「マカ」みたいに、AVが「健康商品」となっていく方向はアリですね。AVを見て、「若返った。活力が出た」と。業界は若者の「AV離れ」に危機感を持っていますが、逆にFAプロのような泥臭い映像が新鮮で、AVに目覚めたという20代もいるんですね。そういう中から新しいAVの担い手が出ることを期待したいです。

藤木TDC(ふじき・てぃーでぃーしー)

1962年生れ。フリーライター。映画・芸能史・AV評論、酒場ルポ、横丁・小路の歴史研究等のテーマを中心に執筆。著書に、『アダルトメディア・ランダムノート』(ミリオン出版)『アダルトビデオ革命史』(幻冬舎新書)『陰謀馬券の正体』(宝島SUGOI文庫)『昭和酒場を歩く―東京盛り場今昔探訪』(自由国民社)『場末の酒場、ひとり飲み』(ちくま新書)『昭和遺産探訪』(宝島社)など。2010~13年TBSラジオ「ニュース探究ラジオ Dig」パーソナリティを務める。上記の『アダルトビデオ革命史』が中国で訳され『日本AV影像史』として出版されるや、中国には公式にはAVがないはずにもかかわらず、アマゾンチャイナで100を超える賞賛のコメントがつき、驚いている。

 

ニッポンAV最尖端 欲望が生むクールジャパン
藤木TDC・著

定価:本体700円+税 発売日:2015年12月04日

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